小論文ネタ帳 気になるテーマを一つ選び、背景や異なる見方を読んで、自分の考えを整理するための無料のネタ帳です。
収録:2026-10-30。一部の数字・制度は2026-10-30に確認しています。情報は変わるため、最新の制度や提出先の条件は公式情報を確認してください。
テーマ一覧(69件) AIと仕事の未来 ― 人間に残る役割は何か 人口減少時代に地域社会をどう維持するか 外国人労働者の受け入れと多文化共生 ジェンダー平等をどう実現するか — 「らしさ」の固定観念と機会の平等 SNS時代の情報倫理 ― 表現の自由と誹謗中傷のあいだ 生成AIとフェイクニュース時代の情報リテラシー 生成AIと著作権 ― 創作の何を守るべきか AIの判断は公平か ― アルゴリズムに潜むバイアス AI時代の学問の誠実さ ― レポートを「自分で書く」意味はどこにあるか ICT・AI時代の教育改革と学びの公平 生成AIを「学びの評価」にどう組み込むか ― 禁止ではなく使い方の教育へ 「原体験」を語れる人が有利な総合型選抜は公平か 高齢化社会の医療資源と患者の自己決定 終末期医療で「個人の尊厳」をどう守るか ― 延命と尊厳死のあいだ 遠隔医療は地域医療を救うか ― 対面とオンラインのあいだ 在宅医療と多職種連携 ― 医療を「病院の中」から「暮らしの中」へ オーバーツーリズムと地域の暮らし・移動 6次産業化は地域を救うか ― 一次産業の付加価値づくり 地方創生に本当に必要なものは何か ― 交通・教育・産官学連携の再設計 地域経済はどう活性化すべきか ― 外からの誘致か、域内の循環か 観光税・入域制限で観光客を抑えるべきか ライドシェア解禁は地方の交通を救うか 拡大する格差と再分配・機会の平等 難民を日本はどう受け入れるべきか ― 人道と制度のあいだ 外国人とともに生きる社会 ― 在留資格・教育・ルールづくりの課題 脱炭素社会と経済・暮らしの両立 脱炭素と暮らしの両立 ― 再エネは地域に何をもたらすか 膨らむ社会保障費を誰がどう支えるか ― 世代間の公平 人手不足時代に「働き方」をどう設計するか — 物価高・多様な就労・キャリア形成 大学で学ぶ意義をどう語るか ― 社会課題と自分の原体験をつなぐ 働き方改革とリモートワークの功罪 ― 自由と分断のあいだ 格差社会は是正すべきか — 機会の平等と結果の平等 データ読解と数理的思考の社会応用 災害に強い社会をどうつくるか — 自助・共助・公助と地域コミュニティ 防災と科学技術 ― 技術は災害から人を守りきれるか 災害時の情報伝達 ― SNSは命を守るか、混乱を招くか AI時代に文学・言語・教養を学ぶ意義 災害に強い社会は「自助・共助・公助」をどう組み合わせるべきか パーパス経営は本物か ― 企業は何のために存在するのか 産業の空洞化にどう向き合うか ― グローバル化と国内雇用 無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)にどう向き合うか 防災・減災を見据えた都市計画 ― 安全と暮らしやすさの両立 グローバル化は文化を「ひとつ」にするか ― 画一化と多様性のあいだ 文化の力は対立を和らげるか ― ソフトパワーと国家の戦略 言葉の壁をどう越えるか ― 多言語対応と「やさしい日本語」 海外で事業を営む企業は、現地文化にどこまで合わせるべきか 消えていく言語と文化を、誰が引き受けるのか 「文化だから」はどこまで通用するか ― 文化の尊重と普遍的人権 他文化を「使う」ことはどこから盗用になるか 見せるための文化は「本物」でなくなるのか 人は「◯◯人」を一つだけ持つべきか ― 多重の帰属と国家 多文化社会をどう設計するか ― 同化・多文化主義・相互文化主義 文化のちがいは対立の原因なのか ― 文明の衝突論と、その批判 店頭の多言語化 ― 買う人・働く人・地域から見た多民族化 子どもの生成AI・スマホ利用は大人が制限すべきか ― 規制と主体性のあいだ AIが問題を解く時代に、数学を学ぶ意味はあるか ―「解く力」と「問う力」 AIに任せてよい判断はどこまでか ― 「進める判断」と「止める判断」 基礎はAIを使わずに学ぶべきか ― 学ぶ順番を考える AIで仕事は「なくなる」のか「変わる」のか ― 数字の読み方から考える AIが人間を超えたら、人間らしさはどこに残るか ― 個の能力から関係性へ 大学入試は「知識の量」を問うべきか ― AI時代に測るべき力 AIに自分の情報をどこまで渡すか ― 便利さとプライバシーの境界 自律型兵器と人間の統制 ― AIに「引き金」を渡してよいか 忘れられる権利と個人情報保護 ― 検索結果は消せるか SNS誹謗中傷への刑事罰強化は妥当か 一票の格差と司法の役割 表現の自由はどこまで制約できるか — 規制の線引き 同性婚・選択的夫婦別姓と憲法24条 AIが起こした損害の責任は誰が負うか AI
AIと仕事の未来 ― 人間に残る役割は何か 生成AIが広がる社会では、効率化と人間らしい判断の両方を考える必要がある。仕事が置き換わる不安だけでなく、人間がどの役割を深めるべきかを論じるテーマ。
背景 生成AIは文章作成、要約、画像生成、プログラミング補助など、これまで人間が担ってきた作業の一部を短時間で行えるようになった。一方で、現場ではAIの出力をそのまま使うのではなく、目的に合わせて確認し、判断し、相手に伝える力が求められている。
考えたい問い AIに任せる仕事が増えるほど、人間は何を学び、どんな価値を発揮すべきか。効率化を進めながら、考える経験や倫理的判断を失わない仕組みをどう作るか。
見方を広げる AIを活用すれば、調べものや下書きなどの時間を短縮でき、人間は対話、企画、判断、創造的な活動に集中しやすくなる。教育でも個別に合った学習支援がしやすくなる。 AIに頼りすぎると、自分で調べる力や考える力が弱まり、もっともらしい答えを疑わず受け取ってしまう危険がある。また、責任の所在や個人情報の扱いも課題になる。 具体例 高校生がAIで小論文の下書きを作ったあと、自分の経験や具体例を加えて書き直すケース 企業がAIで問い合わせ対応を効率化し、空いた時間を顧客との対話に使うケース 考えてみたい設問 生成AIが普及した社会で、人間にしかできない仕事とは何か。あなたの考えを述べなさい。 AIと共存する未来の働き方について、具体例を挙げて論じなさい。 元データの更新日:2026-09-02
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国際
外国人労働者の受け入れと多文化共生 人手不足で外国人労働者が増える日本で、彼らをどう受け入れ、共に暮らす社会をどう築くかを考える論点。
背景 少子高齢化による労働力不足を補うため、2019年に特定技能制度を創設し、外国人労働者の受け入れを拡大した。2024年には技能実習に代わる「育成就労」制度の創設が決まった。在留外国人は2025年末に約412万人と過去最多を更新し、初めて400万人を超えた。一方で言語の壁・低賃金・子どもの教育・社会保障など共生の課題が表面化し、欧州では移民排斥を掲げるポピュリズム政党の台頭も見られる。
考えたい問い 外国人労働者の受け入れを拡大すべきか、社会的コストや摩擦への懸念から慎重であるべきか。
見方を広げる 労働力不足が深刻な日本で外国人材は経済・社会の維持に不可欠。多様性は活力とイノベーションを生み、制度を整えれば共生は可能だとする立場。 急速な受け入れは言語・文化の摩擦や社会保障負担を生み、統合策が不十分なら分断や排外感情を招く。まず国内の労働環境改善・省力化を優先すべきだとする立場。 具体例 特定技能制度(2019)と育成就労制度(2024) 技能実習生の失踪・人権侵害が問題化した事例 外国にルーツを持つ子どもの不就学・日本語教育の課題 欧州での移民排斥ポピュリズム政党の台頭 考えてみたい設問 外国人労働者の受け入れにあたり、社会に何が求められるか述べなさい。 多文化共生社会を実現するための課題と方策を論じなさい。 日本は移民をどう受け入れるべきか、あなたの考えを述べなさい。 元データの更新日:2026-09-02
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その他
ジェンダー平等をどう実現するか — 「らしさ」の固定観念と機会の平等 「男らしさ・女らしさ」の固定観念と、進学・就労・家庭での機会の不平等をどう乗り越えるか。多様性社会の基盤として頻出のテーマ。
背景 日本はジェンダーギャップ指数(政治・経済分野)で国際的に低い水準が続き、管理職や政治家に占める女性比率の低さ、家事・育児の負担の偏り、理系分野での女性比率の低さなどが指摘される。一方で、性別にかかわらず個人の選択を尊重する考え方が広がり、性的マイノリティ(LGBTQ)への理解も論点になっている。固定的な性別役割分担(「男は仕事、女は家庭」)の見直しと、結果の平等をどこまで求めるか(クオータ制など)が争点になりやすい。
考えたい問い ジェンダー平等は、本人の自由な選択に任せれば実現するのか、それとも数値目標(クオータ制など)で結果の平等を積極的に是正すべきか。
見方を広げる 長年の固定観念や慣行が女性の機会を狭めてきた以上、放置すれば格差は縮まらない。一定割合を女性に割り当てるなどの仕組みで意思決定層を変え、ロールモデルを増やすことが平等への近道。 性別を理由に枠を割り当てるのは、能力本位の公平さを損ない「逆差別」になりかねない。本人の希望や適性を無視した数合わせは当事者のためにならず、教育や意識改革で土台から変えるべき。 具体例 管理職・国会議員に占める女性比率の低さ(ジェンダーギャップ指数) 家事・育児・介護の負担が女性に偏る「アンペイドワーク」 理工系(リケジョ)に進む女性が少ない進路選択の偏り 育児休業の取得が男性に広がりにくい職場慣行 「男らしさ・女らしさ」の固定観念とLGBTQへの理解 考えてみたい設問 ジェンダー平等を実現するために社会に必要な取り組みを論じなさい。 固定的な性別役割分担についてあなたの考えを述べなさい。 多様性を尊重する社会をつくるために大切なことは何か論じなさい。 元データの更新日:2026-09-02
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その他
SNS時代の情報倫理 ― 表現の自由と誹謗中傷のあいだ SNSでの誹謗中傷・偽情報・肖像権侵害と、「表現の自由」をどう両立させるかを考えるカード。規制と自由のバランスが争点。
背景 SNSは誰もが発信できる場を生んだ一方、匿名の誹謗中傷、デマの拡散、無断での写真・動画の投稿といった問題を深刻化させた。日本では2020年の事件をきっかけに議論が進み、2022年には侮辱罪が厳罰化され、発信者情報開示の新しい裁判手続も始まった。2024年には、大規模なプラットフォーム事業者に削除対応の迅速化などを義務づける情報流通プラットフォーム対処法が成立した(2025年施行)。一方で、規制を強めすぎれば正当な批判や内部告発まで萎縮させる「表現の自由」との緊張関係がある。プラットフォーム企業の責任、利用者のリテラシー、法制度の3者がどう役割を分担するかが問われている。
考えたい問い SNS上の有害な投稿は、どこまで規制すべきか(規制強化か、表現の自由の尊重か)。
見方を広げる 匿名の誹謗中傷は人を死に追い込むほどの実害がある。被害者を守るには、厳罰化や発信者特定の仕組み、プラットフォームによる削除義務など実効的な対策が不可欠だ。表現の自由は、他者の人権を侵害する自由までは含まない。 規制の線引きは難しく、強めすぎれば権力批判や告発も「誹謗中傷」として封じられかねない。何が有害かの判断を国家や企業に委ねれば、検閲につながる危険がある。問題の根本は制度より利用者のモラルとリテラシーであり、教育で解決すべきだ。 具体例 侮辱罪の厳罰化と発信者情報開示の新しい裁判手続(2022年)、情報流通プラットフォーム対処法(2024年成立) 匿名アカウントによる誹謗中傷被害(著名人の自死をきっかけに社会問題化) 選挙時の偽情報・ディープフェイクの拡散 学校での無断撮影・SNS投稿によるトラブル 考えてみたい設問 SNS上の誹謗中傷を防ぐために、規制と表現の自由をどう両立させるべきか論じなさい。 SNSの普及がもたらした利点と問題点を挙げ、私たちはどう向き合うべきか述べなさい。 匿名での発信は認められるべきか、あなたの考えを述べなさい。 元データの更新日:2026-08-13
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AI
生成AIとフェイクニュース時代の情報リテラシー 生成AIが偽情報の生成・拡散を容易にした時代に、情報をどう見極め、技術とどう付き合うべきかを考える論点。
背景 2022年末のChatGPT登場以降、テキスト・画像・動画を誰でも高品質に生成できるようになった。一方でディープフェイク動画や、もっともらしい嘘(ハルシネーション)を含む文章がSNSで拡散し、選挙や災害時の混乱を招く事例が各国で報告されている。EUは2024年にAI規制法(AI Act)を成立させ、生成物への表示義務などを定めた。日本でも総務省やプラットフォームが対応を進めるが、技術の進化に制度が追いついていない。
考えたい問い 生成AIによる偽情報の拡散に対し、規制を強化すべきか、利用者のリテラシー向上に委ねるべきか。
見方を広げる 偽情報は民主主義の前提である「共通の事実」を壊し、選挙や災害対応を妨げる。個人のリテラシーには限界があり、AI生成物への表示義務やプラットフォームの削除責任など制度的な歯止めが不可欠だとする立場。 過度な規制は表現の自由や技術革新を萎縮させ、「何が偽情報か」を国家が決める検閲につながる危険がある。本質的な解決は、受け手が情報源を確認し批判的に吟味する力(メディアリテラシー)を育てることだとする立場。 具体例 ディープフェイク動画で政治家の偽発言が拡散した2024年の各国選挙 ChatGPTが事実無根の判例を生成し、米国の弁護士が裁判所に提出して問題化した事例 災害時にAI生成のフェイク画像(偽の被災写真)がSNSで拡散し救助を混乱させた事例 EUのAI Actによる生成コンテンツの表示義務 考えてみたい設問 生成AIがもたらす偽情報の問題に対して、社会はどう対応すべきか、あなたの考えを述べなさい。 情報の真偽を見極めるために、個人と社会にはそれぞれ何が求められるか論じなさい。 表現の自由と偽情報規制の両立について、あなたの意見を述べなさい。 元データの更新日:2026-08-13
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AI
生成AIと著作権 ― 創作の何を守るべきか 生成AIが文章・画像・音楽を量産する時代に、学習データの著作権、AI生成物の権利、クリエイターの保護をどう設計するかを問うAI・情報系テーマ。
背景 生成AIは大量の既存作品を学習して新たな文章・画像・音楽を生み出す。この「学習」が著作権侵害にあたるか、AIが生成したものに著作権が認められるか、既存作家の画風・作風の模倣をどう扱うかが世界的な論争になっている。日本は学習段階での著作物利用に比較的寛容な法制(著作権法30条の4)を持つが、クリエイターからは「ただ乗り」への懸念が強い。AI生成物の氾濫はクリエイターの仕事や創作意欲を脅かす一方、創作のハードルを下げ表現を民主化する面もある。技術革新と創作者保護のバランスをどう取るかが問われている。
考えたい問い 生成AIによる創作は、文化を豊かにする技術革新として推進すべきか、クリエイターの権利を脅かすものとして規制すべきか。
見方を広げる (技術革新・表現の民主化を重視)生成AIは創作のハードルを下げ、誰もが表現できる時代を開く。学習による利用を過度に制限すれば技術発展を妨げる。新しい創作の形として活用とルール整備を進めるべきだ。 (クリエイター保護を重視)無断学習や作風の模倣はクリエイターの努力への「ただ乗り」で、創作意欲と生計を奪う。生成物が氾濫すれば文化の多様性も損なわれる。学習データの透明性と対価、権利保護を優先すべきだ。 具体例 著作権法30条の4(学習段階の著作物利用に寛容な日本の法制) 画風・作風を模倣されたイラストレーターの反発 AI生成物に著作権を認めるかをめぐる各国の判断の違い 学習データの開示・オプトアウトを求める動き AI生成と人間の創作の見分けがつかなくなる問題 考えてみたい設問 生成AIと著作権をめぐる課題について、あなたの考えを述べよ AIによる創作はクリエイターにとって脅威か、それとも道具か論じよ 生成AI時代に創作者を守るために必要なルールを述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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AI
AIの判断は公平か ― アルゴリズムに潜むバイアス 採用・融資・採点などでAIが人を評価・選別する時代に、AIの判断は本当に公平か。学習データに潜む偏りや「ブラックボックス」問題、人間の責任をどう担保するかを問うAI・情報倫理系テーマ。
背景 AIは採用選考・融資審査・成績評価・犯罪予測など、人の人生を左右する判断に使われ始めている。「AIは客観的で公平」と思われがちだが、AIは過去のデータを学習するため、データに含まれる人間社会の偏見(性別・人種などの差別)をそのまま、時に増幅して再現してしまう。さらに、なぜその結論に至ったかが説明できない「ブラックボックス」問題があり、誤りや差別があっても気づきにくく、責任の所在も曖昧になる。効率化の利点は大きいが、公平性・透明性・説明責任をどう確保し、最終判断に人間がどう関与するかが問われている。
考えたい問い 人を評価・選別する判断をAIに任せるべきか、それとも公平性や責任の観点から人間が判断すべきか。
見方を広げる (AI活用を推進)人間の判断こそ気分や偏見に左右される。AIは大量のデータを一貫した基準で処理でき、設計と検証を適切に行えば、むしろ人間より公平で効率的な判断を実現できる。 (人間の判断・責任を重視)AIは学習データの偏見を再現・増幅し、ブラックボックスゆえに誤りや差別を検証しにくい。人の人生に関わる判断を任せれば責任の所在も曖昧になる。最終判断は人間が担うべきだ。 具体例 採用AIが過去データの偏りから特定の性別を不利に扱った事例 融資・与信審査やローン判定へのAI活用 AIの「ブラックボックス」問題(判断理由が説明できない) 犯罪予測・再犯予測システムへの懸念 説明可能なAI(XAI)・人間による最終確認の仕組み 考えてみたい設問 AIによる判断の公平性をめぐる課題と、その対応について述べよ AIの判断を人の重要な決定に用いることの是非を論じよ AI技術の悪用や差別を防ぐために必要な対応を述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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AI
AI時代の学問の誠実さ ― レポートを「自分で書く」意味はどこにあるか 生成AIで誰でもそれっぽいレポートが書ける時代に、「自分で書く」ことの意味と、評価・学問の誠実さ(academic integrity)をどう守るかを考えるカード。
背景 生成AIの普及で、レポートも読書感想文も小論文も数秒で出力できるようになった。大学・高校はAI利用ルール作りに動くが対応は「全面禁止/出典明示すれば可/申告制」と分かれる。AI生成文の検知ツールには精度の限界があり、「見抜けない」前提で評価制度を作り直す議論が進む。開発元自身が検知の不確実性を認めている。
考えたい問い AIで書ける時代に、課題を「自分の力で書かせる」ことに意味はあるのか。
見方を広げる 書く過程そのものが思考の訓練で、調べ・構成し・言葉にする中で理解が深まる。AIに丸投げすれば成果物は得られても思考力は育たない。「自分の頭で考えた証を示す」学問の誠実さは学位や評価の信頼の土台で、これが崩れれば学歴・資格の意味が失われる。 電卓やワープロと同じく、AIを使いこなす力こそ新しい評価対象。「自分で書いたか」を問い続けるより、AIを使った上でどんな問いを立て・どう判断したかを評価する方が現実的。検知頼みは不正の追いかけっこに終わり、教員と生徒の信頼も損なう。 具体例 大学がレポートを「AI使用前提+口頭試問で理解度確認」方式に切り替えた事例 AI検知ツールが人間の文章を誤判定し、無実の学生が不利益を受けた問題 読書感想文コンクールでAI生成作品の応募が問題化し、選考基準の見直しが議論された例 考えてみたい設問 生成AIが普及した社会で、学校の課題を「自分の力で書く」ことに意味はあるか、考えを述べよ。 AIによる文章生成を学習にどう位置づけるべきか、賛否を踏まえて論じなさい。 「学問の誠実さ」とは何か。AI時代にそれをどう守るべきか述べよ。 元データの更新日:2026-08-13
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教育
ICT・AI時代の教育改革と学びの公平 ICTと生成AIが入る教室で、学びの質と公平、教員の役割をどう設計するかを考える論点。
背景 GIGAスクール構想で小中学生に1人1台端末が配備され、ICT活用が進む。一方で教員不足・長時間労働が深刻化し、教員採用倍率は過去最低水準。生成AIの教育利用や、家庭環境による学力・体験の格差(教育格差)、インクルーシブ教育の推進も課題。
考えたい問い ICT・AIを学校教育に積極導入すべきか、対面・人間による指導の価値を守り慎重であるべきか。
見方を広げる ICTは個別最適な学びと教員の負担軽減を実現し、地理的・経済的な格差を埋める手段になる。AIを使いこなす力こそこれからの学力だとする立場。 端末依存は思考力や対面の学び合いを損ない、家庭の通信・支援格差が新たな分断を生む。教育の核は人と人の関わりであり拙速な導入は危ういとする立場。 具体例 GIGAスクール構想の1人1台端末 教員採用倍率の低下・長時間労働 生成AIの宿題・レポート利用 家庭環境による学力・体験格差 インクルーシブ教育 考えてみたい設問 ICT・AIを学校教育にどう活かすべきか。 教育格差を是正するために何が必要か。 これからの教員に求められる役割とは。 元データの更新日:2026-08-13
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教育
生成AIを「学びの評価」にどう組み込むか ― 禁止ではなく使い方の教育へ 生成AIをレポートや課題で使うことの是非を、「禁止か活用か」の二択ではなく、評価方法そのものをどう作り直すかという観点で考えるカード。
背景 2022年末のChatGPT公開以降、生成AIは大学・高校の課題作成にも使われるようになった。当初は「AIで書いたレポートをどう見抜くか」が議論の中心だったが、検出ツールの精度には限界があり、完全な禁止も現実的でない。文部科学省は2023年に学校向けの暫定的なガイドラインを示し、2024年12月の改訂版(Ver.2.0)でも、一律禁止ではなく、発達段階や課題の性質に応じて活用と制限を判断する方針を示している。論点は「AIを使わせない方法」から「AIがある前提で何をどう評価するか」へと移りつつある。
考えたい問い 生成AIが使える時代に、学習の成果はどう評価されるべきか(成果物の出来か、思考のプロセスか)。
見方を広げる 生成AIは社会で当たり前に使われる道具であり、使い方を学ばせること自体が教育である。最終的な文章の巧拙ではなく、問いの立て方・AIへの指示・出力の検証といったプロセスを評価すれば、AIを使ってもごまかせない学力(批判的思考・編集力)を測れる。口頭試問やプロセス記録を組み合わせれば公正性も保てる。 基礎的な書く力・考える力が育つ前にAIに頼れば、思考の土台そのものが育たない。プロセス評価は教員の負担が大きく、現場で一律に運用するのは難しい。「使い方を教える」という建前のもとで、本来身につけるべき基礎が空洞化する恐れがある。発達段階の低い学習者ほど、まず自力で書く経験が必要だ。 具体例 文部科学省の生成AI利用ガイドライン(2024年改訂。一律禁止せず活用と制限を段階的に判断) AI検出ツールの精度限界(人間の文章を誤検出する事例が報告されている) 口頭試問・プロセス記録(下書きや対話ログ)を評価に組み込む大学の試み 「AIに要約させた上で、その要約のどこが不十分かを自分の言葉で論じる」課題設計 考えてみたい設問 生成AIの利用を前提とした場合、学校はレポート課題をどう評価すべきか、あなたの考えを述べなさい。 生成AIの教育利用について、「禁止」と「活用」の両論を踏まえ、あなたの立場を論じなさい。 AIが文章を書ける時代に、人間が「書く力」を学ぶ意義は何か。 元データの更新日:2026-08-13
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教育
「原体験」を語れる人が有利な総合型選抜は公平か 総合型選抜で重視される「原体験」。華々しい体験を持つ人が有利になりがちな選抜は公平か、原体験のない受験生はどう自分の物語を社会課題と接続するかを考えるカード。
背景 総合型選抜(旧AO)は学力試験だけでなく志望理由書・活動報告書・面接で「なぜその学問を志すのか」を問う。留学・起業・ボランティア・難病経験などの「原体験」が説得力を生むとされる一方、体験の機会は家庭環境や地域で差があり「派手な実績がないと不利」という不公平さも指摘される。本来は体験の大小でなく、身近な問題意識を学問・社会課題へどう接続できるかが評価軸のはずが、運用では見栄えに流れやすい。
考えたい問い 原体験の強さで評価が左右される総合型選抜は、公平な選抜と言えるか。
見方を広げる 学問への動機が本物かを見るには、実際に何を経験し何を問題と感じたかが最も確かな手がかり。原体験を語れることは人生を内省し言語化できる力の表れで、入学後の探究の持続力につながる。 体験の機会は経済力・地域・家庭に左右され、原体験の差は努力でなく環境の差。派手な実績を競わせる選抜は格差を再生産する。評価すべきは体験の華やかさでなく、ありふれた日常から問いを立てる思考力のはずだ。 具体例 海外留学や起業経験を持つ受験生が高評価される一方、機会のなかった生徒が見劣りする構図 「祖母の介護」「地元商店街の衰退」など身近な経験を鋭い問題意識へ昇華して合格した例 活動実績を"盛る"ための高額な課外プログラムやコンサルが広がり、経済格差が選抜に持ち込まれる問題 考えてみたい設問 総合型選抜で「原体験」が重視されることの是非について、考えを述べよ。 あなたが最も問題意識を持った経験と、それを大学でどう学びにつなげたいか述べよ。 「体験の格差」が進学機会に与える影響について論じなさい。 元データの更新日:2026-08-13
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医療
高齢化社会の医療資源と患者の自己決定 高齢化と技術進歩の中で、限られた医療資源をどう配分し、患者の意思をどう尊重するかを考える論点。
背景 日本は2025年に団塊の世代が全員75歳以上となり(2025年問題)、医療・介護の需要はさらに高まっている。2040年に向けては、85歳以上の人口や一人暮らしの高齢者の増加も見込まれる。医師の地域偏在・診療科偏在で地域医療が逼迫。終末期医療やトリアージ、新薬(アルツハイマー病薬など)の費用対効果、患者の自己決定(インフォームド・コンセント/ACP)をめぐる倫理的判断が日常的に問われる。
考えたい問い 限られた医療資源を効率(救命数・費用対効果)で配分すべきか、患者の自己決定や公平性を優先すべきか。
見方を広げる 資源が有限である以上、より多くの命を救い社会全体の便益を最大化する配分(トリアージ・費用対効果評価)が合理的だとする立場。 効率優先は弱者を切り捨てかねない。患者一人ひとりの尊厳・自己決定と、地域や所得による格差の是正こそ医療の使命だとする立場。 具体例 2025年問題(団塊の世代が全員75歳以上に)とその後の医療・介護需要 医師の地域・診療科偏在 救急のトリアージ 高額新薬の保険適用をめぐる議論 ACP(人生会議) 考えてみたい設問 限られた医療資源をどう配分すべきか。 患者の自己決定をどこまで尊重すべきか。 地域医療を支えるために何が必要か。 元データの更新日:2026-08-13
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医療
終末期医療で「個人の尊厳」をどう守るか ― 延命と尊厳死のあいだ 超高齢社会で避けられない「人生の最終段階の医療」。延命治療・緩和ケア・尊厳死をめぐり、本人の意思と命の尊重をどう両立するかを問う医療・看護系頻出テーマ。
背景 高齢化が進み、多くの人が病院で人生の最期を迎える時代になった。医療技術の進歩で延命は可能になったが、本人の意識がないまま管につながれる状態や、回復見込みのない延命の是非が問われている。日本では安楽死は認められていないが、終末期の本人意思を事前に話し合うACP(人生会議/アドバンス・ケア・プランニング)の普及や、緩和ケア・在宅看取りの整備が進む。一方で家族の負担、医療費、本人意思の確認困難(認知症など)といった課題も大きい。「どう死ぬか」は「どう生きるか」と表裏で、医療者には延命の技術だけでなく、本人のQOLと尊厳に寄り添う姿勢が求められる。
考えたい問い 終末期において、命を可能な限り延ばすこと(延命)と、本人の尊厳・QOLを優先すること(尊厳ある最期)のどちらを重視すべきか。
見方を広げる (本人の自己決定・尊厳を重視)人生の最終段階をどう過ごすかは本人が決めるべきで、苦痛を伴う延命よりQOLを保った最期を選ぶ権利がある。ACPで本人意思を事前に共有し、緩和ケアで苦痛を取り除くことが尊厳を守る。 (命の尊重・慎重論)尊厳死・延命中止の容認は「生きる価値の選別」につながりかねず、経済的・社会的弱者が「死を選ばされる」圧力を生む危険がある。命は最大限尊重すべきで、安易な線引きは避けるべきだ。 具体例 ACP(人生会議)による事前の意思表示の普及 緩和ケア病棟・ホスピスでのQOL重視のケア 在宅看取りと家族・多職種連携の負担 認知症患者など本人意思の確認が難しいケース 海外(オランダ・スイス等)の安楽死制度と日本との違い 考えてみたい設問 終末期医療において患者の尊厳を守るために、医療者は何をすべきか述べよ 延命治療の是非について、あなたの考えを述べよ 本人の意思が確認できない場合、終末期の医療方針は誰がどう決めるべきか論じよ 元データの更新日:2026-08-13
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医療
遠隔医療は地域医療を救うか ― 対面とオンラインのあいだ スマホやオンラインで診療を受ける遠隔医療。医師不足の地域や通院困難な患者を支える可能性と、対面でしか得られない情報・信頼の課題を考える医療・科学技術系テーマ。
背景 情報通信技術の発展で、ビデオ通話などを使い離れた場所から診療を行う「遠隔医療(オンライン診療)」が広がっている。コロナ禍で規制が緩和され普及が進んだ。医師が偏在し地方やへき地で医師不足が深刻ななか、通院が難しい高齢者・離島・山間部の住民にとって医療アクセスを保つ手段として期待される。一方で、触診や検査ができず対面に比べ診断情報が限られること、信頼関係の築きにくさ、デジタル機器を使えない高齢者の壁、対面診療との使い分けといった課題もある。技術で医療の地理的格差をどこまで埋められるかが問われている。
考えたい問い 遠隔医療は対面診療を補い地域の医療アクセスを救うか、それとも対面でしか守れない医療の質を損なうか。
見方を広げる (遠隔医療を推進)医師不足の地域や通院困難な人にとって、遠隔医療は医療アクセスを保つ命綱になる。慢性疾患の経過観察や離島・へき地の初期対応など、対面を補う形で活用すれば医療格差を縮められる。 (対面・医療の質を重視)触診や検査ができず診断情報が限られ、信頼関係も築きにくい。デジタルを使えない高齢者を取り残す恐れもある。安易な代替は医療の質を下げかねず、あくまで対面が基本であるべきだ。 具体例 コロナ禍を機にしたオンライン診療の規制緩和 離島・へき地・通院困難な高齢者の医療アクセス確保 慢性疾患の経過観察・服薬指導での活用 触診・検査ができない診断情報の限界 デジタル機器を使えない高齢者のデジタルデバイド 考えてみたい設問 遠隔医療の利点と課題を述べ、地域医療における役割を論じよ 医師不足の地域における医療職の役割を述べよ 医療における技術活用と対面の重要性をどう両立すべきか述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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医療
在宅医療と多職種連携 ― 医療を「病院の中」から「暮らしの中」へ 高齢化と病床削減が進むなか、医療を病院だけでなく地域の生活の場で支える「在宅医療」と、医師・看護師・介護職などが連携する「多職種連携」の意義と課題を考えるカード。
背景 日本は超高齢社会を迎え、医療費の増大と病床の制約から、入院中心の医療から地域で支える「地域包括ケアシステム」への転換が進められている。住み慣れた家で最期まで暮らしたいという希望も多く、在宅医療の役割が高まっている。在宅では、医師・訪問看護師・薬剤師・介護職・ケアマネジャーなど多くの職種がチームで一人の患者を支える「多職種連携」が不可欠だ。一方で、24時間対応の負担、職種間の情報共有の難しさ、担い手不足、家族の介護負担といった課題も大きい。
考えたい問い これからの医療は、どこまで在宅・地域へ移すべきか(在宅シフトを進めるか、病院機能を重視するか)。
見方を広げる 住み慣れた場所で暮らしたいという患者の願いに応えられ、生活の質(QOL)を高められる。病床の制約や医療費の面でも合理的で、多職種が連携すれば病院に近い安心を地域でも提供できる。患者を「病気」でなく「生活する人」として支えられる。 在宅医療は家族の介護負担が重く、独居や老老介護の家庭では支えきれない。24時間対応できる人材や事業所は都市に偏り、地方では十分に整わない。急変時の対応にも限界があり、安易な在宅シフトは患者と家族を追い詰めかねない。 具体例 地域包括ケアシステム(住まい・医療・介護・予防・生活支援の一体提供) 訪問看護・訪問診療と、薬剤師・ケアマネジャー・介護職の連携 ICT(情報共有アプリ)による多職種の情報連携 老老介護・独居高齢者の増加と家族の介護負担 考えてみたい設問 在宅医療を推進することの利点と課題を挙げ、あなたの考えを述べなさい。 多職種連携が求められる理由を説明し、看護師に期待される役割を論じなさい。 患者を「生活する人」として支えるとはどういうことか、あなたの考えを述べなさい。 元データの更新日:2026-08-13
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地方
オーバーツーリズムと地域の暮らし・移動 インバウンド回復で過熱する観光と地域の暮らし・移動手段をどう両立させるかを考える論点。
背景 コロナ後の訪日客は急回復し、2025年には約4,270万人と過去最多を更新した。経済効果の一方、混雑・ごみ・マナー・住民生活への影響(オーバーツーリズム)が深刻化。観光地などでのタクシー不足を背景に、2024年から日本版ライドシェアが部分解禁されたが、安全性やタクシー業界との調整が論点。
考えたい問い 観光客の増加と利便を優先すべきか、住民の生活環境の保全を優先すべきか。
見方を広げる 観光は地方経済の貴重な成長源で、ライドシェア解禁は移動の不便を解消する。受け入れ拡大と規制緩和で地域を潤すべきだとする立場。 過度な観光は住民生活を圧迫し地域の魅力をすり減らす。ライドシェアは安全・雇用面の懸念があり、総量管理と住民本位の設計が要るとする立場。 具体例 2025年の訪日客は約4,270万人で過去最多 京都・鎌倉などのオーバーツーリズム 観光税・入山料・予約制の導入 2024年の日本版ライドシェア部分解禁 過疎地の交通空白 考えてみたい設問 オーバーツーリズムにどう対応すべきか。 観光振興と住民生活をどう両立させるか。 ライドシェア解禁の是非を論じなさい。 元データの更新日:2026-08-13
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地方
6次産業化は地域を救うか ― 一次産業の付加価値づくり 農林水産業(1次)が加工(2次)・販売(3次)まで担う「6次産業化」。高齢化・低収益に悩む一次産業の再生と地域活性化の切り札になりうるかを問う農学・地域系テーマ。
背景 農業・漁業など一次産業は、従事者の高齢化・後継者不足・低い所得に直面している。そこで生産(1次)だけでなく、加工(2次)・流通販売(3次)まで一体で手がけ付加価値を高める「6次産業化」(1×2×3=6)が注目されている。ジャムや加工品の製造、直売所・農家レストラン、観光農園、ブランド化などで、地域に雇用と収益を生み出す狙いがある。成功例がある一方、加工・販売のノウハウや初期投資、販路確保の難しさ、本業の生産がおろそかになるリスクもある。地域資源をどう価値に変え、持続可能な産業として根づかせるかが問われている。
考えたい問い 6次産業化は衰退する一次産業と地域を再生する有効策か、それとも生産者に過度な負担を強いる理想論か。
見方を広げる (6次産業化を推進)生産だけでは価格を他者に握られ低収益に陥る。加工・販売まで担えば付加価値と利益が地域に残り、雇用も生まれる。地域資源のブランド化は若者の就農・移住も呼び込む。 (慎重・分業重視)加工や販売は専門性が高く、生産者が片手間でやれば本業も中途半端になりかねない。初期投資や販路確保のリスクも大きい。むしろ専門業者との連携・分業で強みを活かすべきだ。 具体例 農家レストラン・直売所・観光農園による収益化 特産品のブランド化・加工品開発 道の駅を核にした地域経済の循環 ノウハウ・初期投資・販路確保の壁 本業(生産)とのバランスの難しさ 考えてみたい設問 6次産業化は地域活性化にどう貢献するか、課題とともに述べよ 一次産業の担い手不足を解決する方策を論じよ 持続可能な地域産業を実現するために必要なことを述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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地方
地方創生に本当に必要なものは何か ― 交通・教育・産官学連携の再設計 人口減少が進む地域を、補助金頼みでなく「住民・企業・大学・行政の連携」と「テクノロジー」でどう持続させるかを、自分ならどう設計するかまで踏み込んで考えるカード。
背景 日本の人口は2008年をピークに減少局面に入り、地方では特に若者の流出と高齢化が進む。2014年に「地方創生」が国の政策に掲げられたが、移住促進やふるさと納税などの施策は一定の成果の一方で、補助金が切れると続かない、自治体間で人口を奪い合うだけといった課題も指摘される。近年は、地域公共交通の維持(バス・鉄道の廃止)、学校の統廃合、医療の確保など「暮らしのインフラ」をどう守るかが切実になり、自動運転・遠隔医療など技術の活用や、大学・企業を巻き込んだ連携が注目されている。
考えたい問い 地方をどう持続させるか(人口を呼び戻すことを目指すか、人口減を前提に暮らしを再設計するか)。
見方を広げる 地域が存続するには一定の人口規模が必要で、移住促進・子育て支援・雇用創出で若者を呼び戻す施策は欠かせない。成功事例も生まれており、魅力を発信し関係人口を増やす努力に意味がある。 全国の自治体が人口を奪い合っても全体の減少は止まらず、移住頼みは持続しない。むしろ人口が減ることを前提に、自動運転やオンライン医療・教育で少ない人数でも暮らせる仕組みを設計し、コンパクトに機能を集約する方が現実的だ。 具体例 地域バス・ローカル鉄道の廃止と、自動運転・デマンド交通の実証実験 学校統廃合とオンライン授業・小規模校の魅力化 遠隔医療による無医地区の診療支援 大学のサテライト拠点や学生の地域課題解決プロジェクト(産官学連携) 考えてみたい設問 人口減少が進む地方を持続させるために、あなたならどのような仕組みを提案するか述べなさい。 地方創生の施策にはどのような課題があるか。具体例を挙げて論じなさい。 テクノロジーは過疎地域の課題解決にどう活用できるか、あなたの考えを述べなさい。 元データの更新日:2026-08-13
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地方
地域経済はどう活性化すべきか ― 外からの誘致か、域内の循環か 人口減少と東京一極集中が進む中、地域経済をどう立て直すか。企業誘致・観光など「外から稼ぐ」道と、地元での生産・消費を循環させる「域内循環」の両面から、経済の視点で考えるカード。
背景 地方では人口減少・若者流出・商店街の衰退・後継者不足が重なり経済が縮小。活性化策は二系統ある。ひとつは企業誘致・工場・観光・ふるさと納税など「外部からお金を呼び込む」道。もうひとつは地元での生産・消費・雇用を地域内で回す「域内経済循環(地域内乗数効果)」。近年は誘致企業の撤退リスクやオーバーツーリズム問題から、域内循環・地域金融・地元中小企業の役割が再評価されている。
考えたい問い 地域経済の活性化は、外部からの企業誘致・観光に頼るべきか、域内の経済循環を高めるべきか。
見方を広げる 地方単独では資本も需要も不足する。企業誘致や観光は雇用と現金収入を一気に生み、税収・人の流れを呼び込む。外貨(域外マネー)を稼ぐ拠点がなければ、循環させる元手が地域に入ってこない。 誘致企業や観光は外部の景気・企業判断に左右され、撤退すれば地域は一気に疲弊する。稼いだお金が地元で使われず大都市の本社や通販に流出すれば地域は潤わない。地産地消・地域金融・地元中小企業の連携でお金が地域に留まる仕組みこそ持続可能だ。 具体例 大型工場を誘致したが数年後に撤退し、雇用と地域経済が一気に落ち込んだ企業城下町の事例 地元産品の加工・販売(6次産業化)や地域通貨で、お金を域内で循環させて雇用を生んだ事例 ふるさと納税の返礼品競争が、地元事業者より仲介サイトや域外業者を潤している問題 考えてみたい設問 地域経済を活性化させるために最も重要だと考える施策を、理由とともに述べよ。 企業誘致と地域内経済循環、それぞれの利点と課題を踏まえ、考えを論じなさい。 人口減少下の地方都市が持続的に経済を維持するには何が必要か述べよ。 元データの更新日:2026-08-13
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地方
観光税・入域制限で観光客を抑えるべきか 観光公害への対策として、観光税の徴収や入域制限・予約制で観光客の数そのものを抑えるべきか。観光振興とのジレンマを政策手段の視点で考えるカード。
背景 コロナ後のインバウンド回復で京都・鎌倉・富士山などに観光客が殺到し、混雑・ゴミ・私有地侵入・住民生活の圧迫(オーバーツーリズム)が深刻化。対策として宿泊税・入山料などの観光税、特定エリアの入域制限・事前予約制、混雑分散の料金変動が導入・検討される。一方で観光は地域経済の重要な収入源で、抑制は売上減につながる。「数を增やす」観光から「単価・満足度を上げる」観光への転換も議論される。
考えたい問い オーバーツーリズム対策として、観光税や入域制限で観光客の数を抑えるべきか。
見方を広げる 住民の生活環境や自然・文化財は有限で、過剰な観光客は不可逆な損傷を招く。観光税や入域制限は混雑を緩和し、得た財源を環境保全や住民還元に回せる。薄利多売より適正な人数で単価と満足度を上げる方が持続可能。 観光は地域経済・雇用の柱で、入域制限や課金は客足を遠ざけ地元事業者を直撃する。制限は来訪機会の公平性も損なう。数を抑えるより、混雑分散(時間・場所の誘導)、交通整備、マナー啟発など供給側の工夫で受け入れ容量を広げるべきだ。 具体例 富士山の登山に通行料・人数制限を導入し、弾丸登山やゴミ問題の抑制を図った事例 京都の市バス混雑で住民の通勤通学や生活に支障が出た問題 ベネチアが日帰り観光客に入域料を課し、混雑抑制と財源確保を試みた海外事例 考えてみたい設問 オーバーツーリズム対策として観光客数を制限することの是非を論じなさい。 観光振興と住民の生活環境の両立のために、どのような施策が有効か述べよ。 観光税の導入についてあなたの考えを述べよ。 元データの更新日:2026-08-13
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地方
ライドシェア解禁は地方の交通を救うか 一般ドライバーが自家用車で客を運ぶ「ライドシェア」。タクシー不足や地方の交通空白を埋める切り札か、安全と雇用を脅かすリスクか。規制緩和の是非を考えるカード。
背景 日本では長く自家用車による有償の旅客運送(白タク)は原則禁止。しかしタクシー運転手の高齢化・人手不足、地方やインバウンド地での移動手段不足を背景に、2024年から条件付きで「日本版ライドシェア」が一部解禁された。海外ではUber・Grab等が普及する一方、運転手の安全管理・保険・労働条件、既存タクシー業界との摩擦が課題。利便性と安全・雇用のバランスが問われている。
考えたい問い ライドシェアを本格解禁し、一般ドライバーによる有償運送を広げるべきか。
見方を広げる タクシー不足や交通空白地域では住民・観光客の移動手段が足りていない。ライドシェアは遊休車と人手を活用し需要に応じて柔軟に供給できる。アプリで配車・決済・評価が透明化され、副収入の機会も生む。利便性向上は地域の生活と経済を底上げする。 プロのタクシーと違い一般ドライバーは運行管理・安全教育・整備の責任が曖昧で、事故時の補償も不十分になりがち。既存タクシー業界の雇用や経営を圧迫し、運転手の労働条件が買い叩かれる懸念もある。安全と責任の制度設計が未成熟なまま広げるのは危険だ。 具体例 タクシーが捕まらない観光地・過疎地で住民や旅行者が移動に困る「交通空白」の問題 2024年に始まった日本版ライドシェア(タクシー会社が運行管理する限定的な仕組み) 海外でUber等が普及した一方、ドライバーの労働問題や安全管理が社会問題化した事例 考えてみたい設問 ライドシェア解禁の是非について、あなたの考えを述べよ。 地方の交通空白を解消するために、どのような手段が有効か論じなさい。 新しいサービスの導入と安全・雇用の確保をどう両立させるべきか述べよ。 元データの更新日:2026-08-13
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国際
拡大する格差と再分配・機会の平等 広がる経済・機会の格差に対し、再分配や機会の平等をどこまで進めるかを考える論点。
背景 日本の相対的貧困率は約15%、ひとり親世帯ではさらに高い。子どもの貧困、非正規雇用、ジェンダー間賃金格差、「親ガチャ」と語られる機会の不平等が問題化。ロールズの正義論やアファーマティブ・アクションが論拠として頻出。再分配(税・社会保障)と自己責任論が対立する。
考えたい問い 格差是正のため国家が再分配を強化すべきか、努力と自己責任を重んじ市場に委ねるべきか。
見方を広げる 出発点の不平等は本人の責任ではなく、機会の平等を保障するには税・社会保障による再分配と積極的格差是正が必要だとする立場。 過度な再分配は勤労意欲と経済の活力を削ぐ。機会提供にとどめ、結果は個人の選択と努力に委ねるべきだとする立場。 具体例 相対的貧困率約15%・子どもの貧困 非正規雇用と賃金格差 男女の賃金・登用格差 「親ガチャ」と機会の不平等 ロールズの正義論・アファーマティブアクション 考えてみたい設問 格差是正のために社会は何をすべきか。 機会の平等と結果の平等をどう考えるか。 子どもの貧困を断ち切るために必要な施策は。 元データの更新日:2026-08-13
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国際
難民を日本はどう受け入れるべきか ― 人道と制度のあいだ 世界で難民が増えるなか、日本の難民認定率の低さが議論に。人道的責任と受け入れ体制・社会統合をどう両立するかを問う国際・社会系テーマ。
背景 紛争・迫害・気候変動により世界の難民・避難民は過去最多水準に達している。日本は難民条約の締約国だが、難民認定率が他の先進国に比べ極端に低く、批判されることもある。2023年の入管法改正では送還ルールの厳格化と「補完的保護」の導入が議論を呼んだ。受け入れには、言語・就労・教育・医療などの社会統合支援が不可欠で、地域社会の理解も求められる。一方で、財政負担・治安への漠然とした不安・偽装難民の懸念といった慎重論もある。人道的責任を果たしつつ、持続可能な受け入れ体制をどう作るかが問われている。
考えたい問い 日本は難民をより積極的に受け入れるべきか、それとも受け入れ体制や社会統合の課題を優先して慎重であるべきか。
見方を広げる (人道・国際責任を重視)難民保護は国際社会の一員としての責任であり、認定率の低さは人道に反する。多様な背景を持つ人々の受け入れは社会の活力にもなる。言語・就労支援を整え積極的に受け入れるべきだ。 (体制・社会統合を重視)受け入れには十分な支援体制と地域の理解が前提で、それなしの拡大は当事者も社会も不幸にする。財政負担や統合の難しさを直視し、制度を整えてから段階的に進めるべきだ。 具体例 日本の難民認定率の低さ(欧米との比較) 2023年入管法改正と「補完的保護」をめぐる議論 ウクライナ避難民の受け入れ(「避難民」という特例的扱い) 言語・就労・子どもの教育など社会統合支援の課題 ドイツなど大量受け入れ国の成果と摩擦 考えてみたい設問 日本は難民をどのように受け入れるべきか、あなたの考えを述べよ 難民・移民の社会統合のために必要な取り組みを論じよ 人道的責任と受け入れ体制の課題をどう両立すべきか述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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国際
外国人とともに生きる社会 ― 在留資格・教育・ルールづくりの課題 労働力としてだけでなく「生活者」として外国人を受け入れる時代に、在留資格・子どもの教育・地域のルールづくりをどう整えるかを考えるカード。
背景 少子高齢化と人手不足を背景に、日本の在留外国人は増え続け、2025年末には約412万人と初めて400万人を超えた。2019年には新たな在留資格「特定技能」が創設され、外国人を労働力としてだけでなく長く暮らす「生活者」として受け入れる段階に入っている。一方で、日本語教育の不足、外国人の子どもの不就学、医療・行政サービスでの言葉の壁、地域でのゴミ出しなど生活ルールをめぐる摩擦も顕在化。「支援」と「共生のルールづくり」を同時に進める必要がある。
考えたい問い 外国人を社会の一員としてどう受け入れるか(積極的に支援・統合を進めるか、ルールや秩序の維持を優先するか)。
見方を広げる 生活者として受け入れる以上、日本語教育や子どもの就学支援、多言語の行政サービスは社会の責任だ。多様な背景の人々が活躍できる地域は活力を生み、人口減を補う力にもなる。 急速な受け入れは生活ルールや文化をめぐる摩擦を生み、支援の財政負担も重い。共生には受け入れる側だけでなく外国人側にも地域のルールを理解してもらう双方向の努力が要る。準備なき拡大は地域社会の不安を招く。 具体例 在留外国人数が過去最多(2025年末・約412万人) 在留資格「特定技能」の創設(2019年) 外国にルーツを持つ子どもの不就学・日本語指導の不足 ゴミ出し・騒音など生活ルールをめぐる摩擦と、多言語対応の取り組み 考えてみたい設問 外国人と共生する社会を実現するために、どのような取り組みが必要かあなたの考えを述べなさい。 外国人労働者の受け入れ拡大について、利点と課題を挙げて論じなさい。 外国にルーツを持つ子どもの教育には、どのような支援が必要か述べなさい。 元データの更新日:2026-08-13
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環境
脱炭素社会と経済・暮らしの両立 脱炭素を進めつつ経済や暮らしをどう両立させるか、世代間・国家間の公平も含めて考える論点。
背景 パリ協定は、産業革命前と比べた気温上昇を2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求するとしている。日本は2050年カーボンニュートラルと2030年度46%削減を掲げ、2025年には2035年度60%・2040年度73%削減(いずれも2013年度比)の目標を国連に提出した。再エネ拡大・電気自動車・省エネが進む一方、電気料金の上昇、再エネ立地と地域の対立、途上国との「共通だが差異ある責任」など、負担の分配が論点。
考えたい問い 脱炭素を経済成長を抑えてでも急ぐべきか、経済との両立を重視して段階的に進めるべきか。
見方を広げる 気候危機は不可逆で、対策の遅れは将来世代に甚大な被害を残す。多少の負担増を受け入れてでも今すぐ大胆に削減すべきだとする立場。 急激な脱炭素は電気代高騰や産業空洞化を招き、生活者と途上国に過大な負担を強いる。技術革新と現実的な移行で両立を図るべきだとする立場。 具体例 パリ協定1.5℃目標 日本の2050年カーボンニュートラル宣言 再エネ賦課金と電気料金上昇 メガソーラー立地と景観・防災の対立 途上国の「差異ある責任」 考えてみたい設問 脱炭素と経済成長は両立できるか。 気候変動対策の負担を誰がどう負うべきか。 持続可能な社会のために個人と社会は何をすべきか。 元データの更新日:2026-08-13
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環境
脱炭素と暮らしの両立 ― 再エネは地域に何をもたらすか 2050年カーボンニュートラルに向けた脱炭素の必要性と、再エネ拡大に伴う景観・コスト・地域経済の摩擦をどう両立させるかを考えるカード。
背景 日本は2020年に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、温室効果ガス実質ゼロを目標に掲げた。発電の脱炭素化が中心課題で、太陽光・風力など再生可能エネルギーの拡大が進む。一方、メガソーラーによる森林伐採や景観の悪化、風力の騒音、送電網の制約、電気料金への上乗せ(再エネ賦課金)など、地域住民の負担や反対も生じている。原子力の再稼働の是非も論点。エネルギーの安定供給・コスト・環境・地域の合意をどう同時に満たすかが問われる。
考えたい問い 脱炭素を進めるうえで、再エネ拡大のコストや地域の負担をどう扱うべきか(脱炭素を優先するか、地域の暮らしや経済を優先するか)。
見方を広げる 気候変動は待ったなしで、再エネ拡大は将来世代への責任。技術革新とともにコストは下がり、地域に新たな雇用や電力の地産地消を生む可能性もある。多少の負担は脱炭素社会への移行に必要な投資だ。 再エネ施設が景観や自然を壊し、住民の合意なく進めば地域社会を分断する。電気料金の上昇は家計や産業を圧迫し、安定供給の不安も残る。脱炭素は重要だが、地域の負担を無視した拡大は持続しない。 具体例 2050年カーボンニュートラル宣言(2020年) メガソーラー建設による森林伐採・土砂災害への懸念 再エネ賦課金による電気料金の上昇 地域が出資する「ご当地電力」「営農型太陽光」など地産地消の試み 考えてみたい設問 脱炭素社会の実現と地域住民の負担について、両立の方策をあなたの考えとともに述べなさい。 再生可能エネルギーの拡大には、どのような利点と課題があるか論じなさい。 あなたの暮らす地域で脱炭素を進めるなら、どのような取り組みを提案するか。 元データの更新日:2026-08-13
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少子化
膨らむ社会保障費を誰がどう支えるか ― 世代間の公平 高齢化で医療・年金・介護の費用が膨らむ一方、支える現役世代は減少。社会保障をどう持続させ、世代間の負担をどう公平にするかを問う社会・経済系テーマ。
背景 日本は少子高齢化が進み、年金・医療・介護といった社会保障給付費が増え続けている。給付を支えるのは主に現役世代の保険料と税だが、その現役世代は人口減少で減っており、一人あたりの負担が重くなっている。かつて多くの現役が一人の高齢者を支えた構造(胴上げ型)が、少人数で支える構造(騎馬戦型・肩車型)へと変化した。負担増(保険料・消費税)か給付抑制(年金・医療費の見直し)か、現役と高齢者のどちらにどう配分するかという「世代間の公平」が論点になる。持続可能な制度設計と、世代を超えた納得が求められている。
考えたい問い 膨らむ社会保障費を、保険料・税の負担増で支えるべきか、給付の抑制・効率化で抑えるべきか。
見方を広げる (負担増・支え合いを重視)高齢者の医療・年金は安心の基盤で、簡単に削れない。社会全体の支え合いとして、現役だけでなく高齢者や高所得者も含め広く負担を分かち合い、制度を維持すべきだ。 (給付抑制・現役配慮を重視)負担増は現役世代を圧迫し、消費や子育てを冷え込ませる。給付の重点化・効率化や、支払い能力に応じた負担で、現役にしわ寄せが偏らないよう抑制を優先すべきだ。 具体例 「胴上げ型→騎馬戦型→肩車型」と表される支え手の減少 医療費の自己負担割合の見直し 年金の支給開始年齢・給付水準の議論 消費税と社会保障財源の関係 現役世代の手取りと保険料負担の増加 考えてみたい設問 増大する社会保障費を持続可能にするために必要なことを述べよ 世代間の公平をどう実現すべきか、あなたの考えを論じよ 少子高齢化が社会保障に与える影響と対策を述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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キャリア
人手不足時代に「働き方」をどう設計するか — 物価高・多様な就労・キャリア形成 人手不足・物価高のなかで「働き方」をどう設計するか。長時間労働の是正、多様な就労、リスキリングを、個人の努力論に偏らず制度の両面から考える論点。
背景 日本は少子高齢化で生産年齢人口が減り、多くの産業で人手不足が深刻化している。働き方改革で長時間労働の是正や有給取得が進む一方、物価高に賃金が追いつかない実質賃金の低下が課題。女性・高齢者・外国人など多様な人材の就労や、AI・自動化による業務の置き換え、学び直し(リスキリング)も論点になる。総合型選抜では「キャリア形成」「これからの働き方」を自分の進路と結びつけて問われやすい。
考えたい問い 労働力不足や働きづらさは、個人の努力(スキル習得・転職)で乗り越えるべき問題か、制度(賃金・労働時間・支援の仕組み)で解決すべき問題か。
見方を広げる 変化の速い時代には、個人が学び続け、自分に合った働き方を選び取る力が重要。多様な働き方や転職の自由が広がれば、能力を活かせる人が増え経済全体も活性化する。 努力を求めるだけでは、ケア責任を負う人・非正規・低賃金層が取り残される。最低賃金や労働時間の規制、保育・介護支援、同一労働同一賃金など制度の整備がなければ「選べる」のは恵まれた人だけになる。 具体例 物価高に実質賃金が追いつかない問題と賃上げの動き 女性の就業を阻む「壁」(保育の不足・税や社会保険の制度) AI・自動化による定型業務の置き換えとリスキリング(学び直し) 人手不足産業(介護・物流・建設)と外国人材・高齢者の就労 副業・リモートワークなど多様な働き方の広がりと格差 考えてみたい設問 人手不足が進む社会で求められる働き方について、あなたの考えを述べなさい。 AIの普及は私たちの働き方をどう変えるか、利点と課題を論じなさい。 誰もが働きやすい社会を実現するために必要な取り組みを論じなさい。 元データの更新日:2026-08-13
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キャリア
大学で学ぶ意義をどう語るか ― 社会課題と自分の原体験をつなぐ 総合型選抜で小論文・志望理由書・面接を貫く「なぜ学ぶのか」を、社会課題×原体験×大学での学び×将来の貢献の一本の筋で語れるようにするメタテーマ。
背景 総合型選抜(旧AO)では、学力だけでなく「なぜこの大学・学部で学びたいのか」「その学びを通じて社会にどう貢献するのか」という志望動機の一貫性が重視される。小論文・志望理由書・面接は別々の課題に見えて、実は同じ問題意識を多角的に確認するもので、ここがバラバラだと評価されにくい。大学側はアドミッション・ポリシーで求める学生像を明示しており、受験生は「自分の原体験→社会課題への問題意識→その大学で学ぶ必然性→将来の貢献」を一筋で説明することが求められる。知識の暗記より「その課題に自分がどう向き合うか」が見られる点が一般選抜との最大の違い。
考えたい問い 大学で学ぶ意義は、個人の将来(就職・資格・収入)のためか、それとも社会課題の解決という公共的な目的のためか。
見方を広げる (社会接続を重視)学びは社会課題の解決という大きな文脈に位置づけられて初めて意味を持つ。自分の原体験から生まれた問題意識を専門知によって深め、将来社会に還元する——この一貫性こそが大学で学ぶ意義であり、総合型選抜で評価される姿勢だという立場。 (個人の探究・自由を重視)学びは必ずしも社会貢献に直結させる必要はなく、純粋な知的好奇心や自分自身の成長のためにあってよい。最初から「社会の役に立つか」で縛ると、基礎研究や教養の価値を見失う。学ぶ自由こそ大学の本質だという立場。 具体例 アドミッション・ポリシーに「主体的に学ぶ意欲」「課題発見力」を掲げる大学が増えている 高校の探究学習で見つけた問いを大学の専門研究につなげる総合型志望者 ボランティアや部活動の原体験を志望理由の核に据える例 基礎研究(すぐ役に立たない学問)が後年社会を変えた事例(数学・基礎物理など) 考えてみたい設問 あなたが大学で学びたいことと、それを通じて社会にどう貢献したいかを述べよ 大学で学ぶ意義とは何か、あなたの考えを述べよ あなたの問題意識を形づくった出来事について述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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キャリア
働き方改革とリモートワークの功罪 ― 自由と分断のあいだ コロナ禍で一気に広がったリモートワークと働き方改革。柔軟な働き方が生む利点と、コミュニケーション・評価・格差の課題を両面から考える経済・社会系テーマ。
背景 長時間労働の是正や多様な働き方を目指す「働き方改革」が進み、コロナ禍を機にリモートワーク(テレワーク)が急速に普及した。通勤時間の削減、育児・介護との両立、地方移住の選択肢拡大など利点は大きい。一方で、対面コミュニケーションの減少による連携・人材育成の難しさ、成果が見えにくい評価の問題、リモート可能な職種とそうでない職種(医療・小売・製造など)の格差、孤独感やオンオフの境界喪失といった課題も顕在化した。働き方の多様化は、企業の生産性と個人のウェルビーイングをどう両立するかという問いを突きつけている。
考えたい問い リモートワークの普及は、働く人の自由とウェルビーイングを高めるか、それとも分断や評価のゆがみを生むか。
見方を広げる (柔軟な働き方を推進)通勤負担や時間の制約から解放され、育児・介護との両立や地方在住も可能になる。成果で評価する文化が根づけば、生産性と個人の生活の質を同時に高められる。 (対面・公平性を重視)リモートは偶発的な対話や新人育成を難しくし、チームの一体感を損なう。リモート不可の職種との格差を広げ、成果の見えにくさが評価の不公平を生む。安易な推進は分断を招く。 具体例 コロナ禍を機にしたテレワークの急拡大とその後の「出社回帰」 ワーケーション・地方移住による働き方の多様化 リモート可能な職種(IT等)と不可能な職種(医療・小売・製造)の格差 ジョブ型雇用・成果主義評価への移行 オンオフの境界喪失と「つながらない権利」 考えてみたい設問 リモートワークの普及がもたらす利点と課題を述べ、あなたの考えを論じよ 働き方改革を真に実現するために必要なことは何か述べよ 多様な働き方が広がる社会で、企業と個人はどうあるべきか論じよ 元データの更新日:2026-08-13
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福祉
格差社会は是正すべきか — 機会の平等と結果の平等 拡大する経済格差をめぐり、再分配による是正を重視するか、自己責任・効率を重視するかを問う頻出テーマ。「機会の平等」と「結果の平等」の区別が論の鍵になる。
背景 日本の相対的貧困率は約15%、子どもの貧困率は約11%(約9人に1人)とされる(2024年の所得をもとにした厚生労働省の調査)。非正規雇用は雇用者の約4割を占め、正規との賃金格差が固定化している。親の所得と子の学力・進学率には相関があり、格差は世代間で連鎖する傾向が指摘される。1990年代以降の規制緩和・グローバル化を背景に「格差拡大」が社会問題として論じられるようになった。
考えたい問い 格差社会は国家が積極的に是正すべきか、それとも個人の努力と市場メカニズムに委ねるべきか。
見方を広げる 格差の固定化は本人の努力を超えた世代連鎖を生み、機会の平等を損なう。教育や健康の格差は自己責任に帰せない。格差拡大は社会の分断・消費低迷・治安悪化など社会全体のコストを招く。セーフティネットは人々の再挑戦を可能にし、社会全体の活力にもつながる。 結果の平等を徹底すると、努力や効率へのインセンティブが失われる。高福祉は高負担を伴い、財政の持続性に課題が残る。一定の格差は競争と成長の原動力でもある。一律の給付より「機会の保障」に的を絞るべきで、自由と自己責任を尊重する立場もある。 具体例 子どもの貧困率と教育格差(無償塾・学習支援NPOの広がり) 北欧の高福祉モデルと日本の比較 非正規・正規の賃金格差と「同一労働同一賃金」 高校無償化・奨学金など機会の平等を支える政策 考えてみたい設問 「格差社会」についてあなたの考えを述べなさい。 機会の平等と結果の平等のどちらを重視すべきか論じなさい。 子どもの貧困を解決するために社会は何をすべきか。 再分配政策の是非についてあなたの意見を述べなさい。 元データの更新日:2026-08-13
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科学技術
データ読解と数理的思考の社会応用 データがあふれる社会で、数字をどう正しく読み、意思決定や課題解決に活かすかを考える論点。
背景 ビッグデータやAIの普及でデータに基づく意思決定(EBPM/データサイエンス)が重視される。一方、コロナ禍では統計やグラフの誤読・誤用、相関と因果の混同、印象操作的なデータ提示が問題化。大学でも数理・データサイエンス・AI教育が必修化され、文理を超えた数理的思考が求められている。
考えたい問い 社会の意思決定をデータ・数理に基づいて行うべきか、数値化しにくい価値や文脈も重視すべきか。
見方を広げる 経験や勘より、客観的データに基づく判断のほうが誤りを減らし公正。数理的思考は課題を構造的に捉え解決する強力な道具だとする立場。 データは切り取り方で誤誘導され、相関を因果と取り違える危険がある。数値化できない人の営みや倫理を欠けば判断を誤るとする立場。 具体例 EBPM(証拠に基づく政策立案) コロナ統計・グラフの誤読 相関と因果の混同 大学の数理・データサイエンス・AI教育必修化 印象操作的なグラフ 考えてみたい設問 データに基づく意思決定の意義と限界を論じなさい。 統計やグラフを読む際に注意すべきことは。 数理的思考は社会課題の解決にどう役立つか。 元データの更新日:2026-08-13
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科学技術
防災と科学技術 ― 技術は災害から人を守りきれるか 流域治水やハザードマップ・避難情報など科学技術による防災の進歩と、それだけでは人は動かないという「地域コミュニティの信頼」の重要性を、両面から考えるカード。
背景 気候変動で豪雨や台風が激甚化し、毎年のように水害・土砂災害が起きている。これに対し、ダムや堤防に加え、流域全体で水を受け止める「流域治水」、精密なハザードマップ、スマホへの緊急速報やAIによる被害予測など、科学技術を使った防災が進んでいる。一方で、避難情報が出ても「自分は大丈夫」と逃げ遅れる人が後を絶たず、技術だけでは命を守れないことも明らかになった。日頃の地域のつながりや、情報を信じて行動する力(避難の実効性)が改めて問われている。
考えたい問い 災害から命を守るうえで、何を重視すべきか(科学技術の高度化か、地域コミュニティや人の判断か)。
見方を広げる 豪雨の激甚化に対し、流域治水や精密な予測・避難情報など科学技術の力は不可欠だ。AIやセンサーで危険を早く正確に伝えれば、より多くの命を救える。技術の高度化こそ防災の土台になる。 どんなに正確な情報も、人が信じて行動しなければ意味がない。避難情報が出ても逃げ遅れる例は多く、鍵は日頃の地域のつながりや声かけだ。技術に頼りすぎれば、かえって「機械が知らせてくれる」という油断を生む。 具体例 気候変動による豪雨・水害の激甚化 流域治水(ダム・堤防だけでなく流域全体で水を受け止める) ハザードマップ・スマホの緊急速報・AIによる被害予測 避難情報が出ても逃げ遅れる「正常性バイアス」と、地域の声かけ避難 考えてみたい設問 災害から命を守るために、科学技術と地域のつながりはそれぞれどのような役割を果たすか論じなさい。 防災において技術の高度化と住民の意識、どちらをより重視すべきかあなたの考えを述べなさい。 避難情報が出ても逃げ遅れる人が後を絶たないのはなぜか、その対策とともに述べなさい。 元データの更新日:2026-08-13
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科学技術
災害時の情報伝達 ― SNSは命を守るか、混乱を招くか 災害時、SNSは安否確認や救助要請・最新情報の共有で力を発揮する一方、デマや誤情報が一気に拡散して混乱や二次被害を招く。緊急時の情報伝達でSNSとどう付き合うかを考えるカード。
背景 地震・豪雨などの災害時、X等のSNSは行政の発信より速く現場情報や救助要請を伝え、安否確認にも使われる。一方、過去の災害では「動物園からライオンが逃げた」等のデマ画像、古い被害写真の使い回し、AI生成の偽画像が拡散し、救助の混乱や差別煙動を招いた。生成AIで精巧な偽情報が作りやすくなり、緊急時に「何が本当か」を見極める難しさが増している。行政の公式発信、発信者の責任、利用者のリテラシーが問われる。
考えたい問い 災害時の情報伝達において、SNSの活用を広げるべきか、リスクを重視して慎重になるべきか。
見方を広げる SNSは行政より速く現場の状況を伝え、救助要請・安否確認・物資の過不足の共有に有効。双方向で被災者自身が発信し助け合える。公式アカウントの整備やAIによる情報集約と組み合わせれば初動対応を大きく改善できる。 デマや誤情報が一瞬で広がり、救助資源の浪費・差別の煙動・パニックを招く。生成AIの偽画像で真偽の判別はさらに困難に。情報が多すぎて本当に必要な情報が埋もれる。検証された公式情報の伝達経路を主軸に据え、SNSへの過信は危険だ。 具体例 過去の地震で「動物園から猛獣が逃げた」等のデマがSNSで拡散し、救助や行政が対応に追われた事例 豪雨災害で古い被害写真やAI生成の偽画像が「今の状況」として拡散した問題 SNSの救助要請が消防より速く届き、実際の救助につながった事例 考えてみたい設問 災害時におけるSNSの利点と問題点を踏まえ、その活用のあり方について論じなさい。 緊急時に誤情報(デマ)が拡散することの危険性と、その対策について述べよ。 情報技術を防災・減災にどう活かすべきか、あなたの考えを述べよ。 元データの更新日:2026-08-13
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その他
AI時代に文学・言語・教養を学ぶ意義 AIが文章を生む時代に、文学を読むことや言葉・教養を学ぶ意味を問い直す論点。
背景 読書離れ・活字離れが進み、若者の1か月の読書冊数は減少傾向。一方で大学入試では「文学を読むということ」「教養の意義」が頻出。生成AIが文章を量産し、効率や実用が重んじられる中で、すぐ役に立たない人文知・教養の価値が改めて問われている。
考えたい問い 文学・教養など実利に直結しない学びを重視すべきか、実用的なスキル教育を優先すべきか。
見方を広げる 文学や人文知は他者への想像力・批判的思考・人生の意味を深める。すぐ役立たないからこそ、変化の速い時代に人を支える土台になるとする立場。 限られた時間では、社会で通用する実用スキル(語学・ICT・専門知)の習得を優先すべきだ。教養は余裕のある者の贅沢になりかねないとする立場。 具体例 若者の読書冊数の減少 「文学を読むということ」など入試頻出テーマ 生成AIによる文章量産 STEM・実学重視の潮流 大衆教養主義の衰退 考えてみたい設問 文学を読むことにどんな意味があるか。 実用的な学びと教養の関係をどう考えるか。 AI時代に人間が学ぶべきこととは。 元データの更新日:2026-08-13
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その他
災害に強い社会は「自助・共助・公助」をどう組み合わせるべきか 災害多発時代に、自助(個人の備え)・共助(地域の助け合い)・公助(行政支援)のどれをどう組み合わせるかを考える定番テーマ。技術と地域の信頼の両輪で論じる。
背景 日本は地震・豪雨・台風が頻発し、近年は線状降水帯による豪雨や大規模地震への警戒が高まっている。防災の基本概念が「自助・共助・公助」の役割分担で、阪神・淡路や東日本大震災の教訓から、初動では公助が届きにくく自助・共助が命を守る鍵とされてきた。一方で高齢化・単身世帯の増加・地域コミュニティの希薄化により共助の担い手が不足し、災害弱者(高齢者・障がい者・外国人)の避難支援が課題化している。流域治水や避難情報の高度化など科学技術による対策も進むが、情報が住民の行動につながるかは別問題で、最終的には地域コミュニティの信頼が機能する。
考えたい問い 災害から命を守るうえで、自助・共助・公助のどれを最も重視し、どう役割分担すべきか。
見方を広げる (自助・共助重視)大規模災害の初動では行政も被災し、公助はすぐ届かない。日頃の備蓄・避難訓練(自助)と近隣の声かけ・助け合い(共助)が生死を分ける。住民一人ひとりと地域の防災力を高めることが現実的で持続可能だという立場。 (公助の責任重視)自助・共助の強調は、行政が果たすべき責任を個人や地域に押し付ける「自己責任論」になりかねない。高齢者・障がい者・経済的弱者は自助に限界があり、避難情報の整備・避難所の確保・インフラ強靭化など公助の充実こそ優先すべきだという立場。 具体例 東日本大震災「釜石の奇跡」=小中学生の主体的避難(防災教育の成果) 能登半島地震の孤立集落と高齢者避難の困難(共助の担い手不足) 線状降水帯予測・流域治水など科学技術による事前対策 ハザードマップを見ても避難につながらない「正常性バイアス」 外国人住民への多言語避難情報の不足 考えてみたい設問 自助・共助・公助のうち、これからの防災で最も重視すべきはどれか、あなたの考えを述べよ 地域防災力を高めるために必要な取り組みを論じよ 災害時に高齢者や障がい者などの災害弱者を守るために、社会は何をすべきか述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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その他
パーパス経営は本物か ― 企業は何のために存在するのか 利益だけでなく「社会的存在意義(パーパス)」を経営の軸に据える動き。SDGsやESGと結ぶ企業戦略の意義と、「やってる感」だけの形骸化リスクを問う経済・経営系テーマ。
背景 企業の目的を利益最大化だけでなく「社会における存在意義(パーパス)」に置く「パーパス経営」が広がっている。背景にはSDGsやESG投資の浸透、消費者・働き手が企業の社会性を重視する価値観の変化がある。社会課題の解決を事業と結びつけることで、長期的な信頼・人材獲得・ブランド価値につながるとされる。一方で、実態を伴わない「ウォッシュ(SDGsウォッシュ・グリーンウォッシュ)」、短期利益との葛藤、パーパスの形骸化といった批判もある。企業は誰のために、何のために存在するのか――株主だけでなく従業員・顧客・地域・環境(ステークホルダー)への責任が問われている。
考えたい問い 企業はパーパス(社会的存在意義)を経営の軸にすべきか、それとも利益追求こそが企業の本分か。
見方を広げる (パーパス経営を支持)社会課題と事業を結ぶことで、長期的な信頼・人材・ブランド価値を生む。消費者も働き手も企業の社会性を重視する時代に、パーパスは持続的成長の条件だ。 (利益・現実を重視)企業の第一の責任は利益を上げ雇用と税を生むことだ。実態を伴わないパーパスは「ウォッシュ」になり、かえって信頼を損なう。きれいごとより本業での価値提供を優先すべきだ。 具体例 SDGs・ESG投資の浸透と企業評価の変化 「SDGsウォッシュ」「グリーンウォッシュ」批判 ステークホルダー資本主義(株主だけでない多様な利害関係者) パーパスを掲げる企業の採用力・ブランド向上 短期利益とパーパスの葛藤 考えてみたい設問 企業はパーパス(社会的存在意義)を重視すべきか、あなたの考えを述べよ 人口減少社会で企業に求められる役割を論じよ SDGsを経営に取り入れる意義と課題を述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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その他
産業の空洞化にどう向き合うか ― グローバル化と国内雇用 企業が生産拠点を海外に移し国内の産業・雇用が細る「空洞化」。グローバル化の合理性と、国内の雇用・技術・地域経済を守る必要をどう両立するかを問う経済系テーマ。
背景 グローバル化のなかで、企業は人件費の安い海外に工場や生産拠点を移してきた。これにより製品の価格競争力は高まるが、国内では製造業の雇用が減り、技術やものづくりの基盤、地域経済が弱る「産業の空洞化」が進んだ。円安や経済安全保障(半導体など重要物資の国内確保)を背景に、近年は生産を国内に戻す動き(国内回帰・リショアリング)も出ている。企業の合理的判断としての海外移転と、国内の雇用・技術・地域を守る要請とのあいだで、産業政策のあり方が問われている。
考えたい問い 企業の海外移転は経済合理性として受け入れるべきか、国内の雇用・産業基盤を守るために抑えるべきか。
見方を広げる (グローバルな合理性を重視)コストの安い場所で生産するのは企業の合理的判断で、価格競争力と利益を生む。無理に国内に縛れば競争力を失う。むしろ国内は高付加価値産業へ転換すべきだ。 (国内雇用・基盤を重視)空洞化は雇用とものづくりの技術、地域経済を奪う。安全保障上も重要物資を海外に依存するのは危うい。国内回帰の支援や産業基盤の維持を政策的に進めるべきだ。 具体例 人件費を求めた工場の海外移転 製造業の雇用減少と地域経済の衰退 半導体など経済安全保障を背景にした国内回帰(リショアリング) 円安と国内生産の見直し 高付加価値産業・研究開発への転換 考えてみたい設問 産業の空洞化がもたらす影響と対策について、あなたの考えを述べよ グローバル化が国内経済に与える影響を論じよ 国内の雇用と産業基盤を守るために必要な方策を述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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その他
無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)にどう向き合うか 誰もが無自覚に持つ偏見=アンコンシャス・バイアス。それが採用・教育・医療などで差別や不平等を生む仕組みと、自覚し是正する方法を考える多様性・人権系テーマ。
背景 人は経験や文化から、自分でも気づかないうちに特定の属性(性別・年齢・国籍・外見など)への思い込みを抱く。これを「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」という。「女性は理系に向かない」「若いから/高齢だから」といった決めつけが、採用・昇進・教育・医療の現場で無意識に不平等を生む。悪意がなくても結果として差別につながる点が厄介で、本人が自覚しにくい。多様性(ダイバーシティ)社会の実現には、制度だけでなく一人ひとりがバイアスの存在を知り、立ち止まって点検する姿勢が求められる。研修や仕組み(匿名選考など)による是正も広がっている。
考えたい問い 無意識の偏見は個人の意識改革で克服すべきか、それとも仕組み・制度で是正すべきか。
見方を広げる (意識・教育を重視)バイアスは誰もが持つと自覚することが出発点だ。研修や対話で「自分も偏見を持つ」と気づき、判断の前に立ち止まる習慣を育てれば、差別の芽を一人ひとりが摘める。 (仕組み・制度を重視)意識改革だけでは無意識ゆえに限界がある。匿名選考・客観的評価基準・多様な人材の登用など、バイアスが結果に出ない「仕組み」で是正するほうが確実だ。 具体例 「女性は理系に向かない」という思い込みと進路選択 採用・昇進における無意識の評価のゆがみ 匿名選考(性別・年齢を伏せた選考)の導入 医療現場での患者属性による対応の差 アンコンシャス・バイアス研修の広がり 考えてみたい設問 アンコンシャス・バイアスがもたらす問題と、その克服策について述べよ 多様性を尊重する社会を実現するために必要な姿勢を述べよ 無意識の偏見を減らすために、個人と組織はそれぞれ何をすべきか論じよ 元データの更新日:2026-08-13
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その他
防災・減災を見据えた都市計画 ― 安全と暮らしやすさの両立 地震・水害が頻発する時代に、災害に強いまちをどう設計するか。安全性と暮らしやすさ・コストを両立する都市計画のあり方を問う建築・理工・地域系テーマ。
背景 地震・豪雨・水害が頻発・激甚化するなか、被害を最小化する「防災・減災を見据えた都市計画」の重要性が高まっている。具体策には、危険区域への居住を抑える土地利用規制、川の氾濫を流域全体で受け止める「流域治水」、建物の耐震化、避難路・避難所の確保、コンパクトシティ(機能を集約し管理しやすいまち)などがある。一方で、規制は住民の生活や財産・地域の歴史と衝突し、対策にはコストもかかる。完全に災害を防ぐ「防災」から、被害を減らし早く回復する「減災」「事前復興」へと発想が移りつつある。安全とくらしやすさ・コストをどう両立するかが問われている。
考えたい問い 災害に強いまちづくりのために、安全性を最優先して規制・移転を進めるべきか、住民の暮らしや財産・コストに配慮して慎重に進めるべきか。
見方を広げる (安全性を最優先)人命に関わる以上、危険区域の居住規制や移転、耐震化を強く進めるべきだ。被害を未然に減らす投資は、災害後の復旧費用や人的被害を考えれば合理的だ。 (暮らし・財産・コストに配慮)規制や移転は住民の生活基盤・財産・地域の歴史を奪い、合意形成も難しい。コストも大きい。一律に進めるのでなく、住民の納得と段階的な対策、暮らしやすさとの両立が要る。 具体例 危険区域の居住を抑える土地利用規制 流域治水(川の氾濫を流域全体で受け止める) コンパクトシティによる機能集約と管理のしやすさ 建物の耐震化・避難路の確保 「防災」から「減災」「事前復興」への発想転換 考えてみたい設問 防災・減災を見据えた都市計画について、あなたの考えを述べよ 災害に強いまちづくりに必要な視点を論じよ 安全性と住民の暮らしやすさをどう両立すべきか述べよ 元データの更新日:2026-08-13
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国際
グローバル化は文化を「ひとつ」にするか ― 画一化と多様性のあいだ ヒト・モノ・情報が国境を越えるほど、世界は同じ商品・同じ言語・同じ価値観に近づく。一方で、それに反発して民族や宗教のちがいが先鋭化する動きも同時に起きている。「多様性を守る」とは具体的に何をどう守ることなのかを問う論点。
背景 20世紀末以降のグローバル化で、経済・情報・生活様式の共通化が進んだ。英語が事実上の共通語となり、同じチェーン店や同じ動画プラットフォームが世界中に広がっている。他方で1990年代以降、民族紛争・宗教対立・移民排斥といった「差異」をめぐる衝突はむしろ目立つようになった。文化人類学者の青木保は『多文化世界』(岩波新書、2003年)で、画一化と対立が同時に進む状況に対し、「文化の多様性」の擁護を軸に据えている。ユネスコも2005年に「文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約」を採択し、文化を単なる商品として市場に委ねない立場を示した。
考えたい問い グローバル化を前提としたうえで、文化の多様性は制度で「守る」対象なのか、それとも交わって変わっていくことこそが文化なのか。
見方を広げる 言語・芸能・生活文化は一度失われると復元できない。市場に任せれば、資本力のある文化が小さな文化を押しのける。多様性は人類が持つ選択肢の幅そのものであり、異なる価値観に触れる機会は、単一の正解を疑う力を育てる。だからこそ条約や公的支援といった制度的な保護が必要になる。 文化はもともと交わりながら変化してきた。「守るべき本物の文化」を国家や専門家が線引きすれば、その内側にいる人の生き方を縛ることになる(伝統の名のもとで個人の選択が制限される)。保護は文化を観光用の展示に変えかねない。必要なのは保護ではなく、誰もが自分の文化を選び直せる自由と、接触の場を増やすことである。 具体例 台湾原住民の集落で、若い世代が母語より中国語を日常語とし、祭礼の運営役が不足している状況 観光客向けに伝統舞踊を短縮・演出化して見せることで収入は増えるが、本来の儀礼の文脈が薄れていく例 世界中の都市に同じカフェチェーンと同じ商業施設が並び、旅行しても風景の差が小さくなっている状況 ユネスコ無形文化遺産への登録をきっかけに、地域が担い手育成の予算を確保できた例 考えてみたい設問 グローバル化は文化の多様性を失わせるという意見がある。あなたの考えを述べなさい。 「文化を守る」とはどういうことか。具体例を挙げて論じなさい。 筆者は文化の多様性の擁護を説いている。これについてあなたの考えを600字で述べなさい。 元データの更新日:2026-09-02
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国際
文化の力は対立を和らげるか ― ソフトパワーと国家の戦略 軍事力や経済制裁ではなく、文化や価値観の魅力で他国を動かす「ソフトパワー」。アニメや食文化が国のイメージを変える一方、それを国家が戦略的に使うことへの警戒もある。文化を外交の道具にしてよいのかを問う論点。
背景 ソフトパワーは、国際政治学者ジョセフ・ナイが提唱した概念で、強制や報酬ではなく魅力によって望む結果を得る力を指す。日本ではアニメ・マンガ・食文化が海外で広く受容され、政府も「クールジャパン」として発信を後押ししてきた。韓国はドラマや音楽の輸出を産業政策と結びつけ、中国は各国に語学・文化の拠点を置いてきた。一方で、文化発信が国家の政治的意図と結びつくとき、受け手の国では「文化を装った影響力の行使ではないか」という警戒も生まれる。
考えたい問い 文化を国家戦略として発信することは、相互理解を進めるのか、それとも新しい形の影響力争いになるのか。
見方を広げる 文化は敵味方の線引きを越えて届く。相手国の市民が日常的に触れる作品・食・言語は、政治的緊張のなかでも人と人の回路を残す。留学や文化交流を経験した人ほど、対立が起きたときに極端な世論へ流されにくい。国家が予算をつけなければ、発信は資本力のある国に偏ることになる。 国家が関わった瞬間、文化は「メッセージ」として読まれる。発信される文化は都合のよい部分に選別され、国内の問題は見えなくなる。受け手の国が警戒を強めれば、かえって規制や排除を招く。そもそも文化の魅力は民間が自由につくったから生まれたのであり、政策で作れるものではない。 具体例 日本のアニメをきっかけに日本語を学び始めた海外の若者が、留学や就職で来日する流れ 政治的に緊張している国どうしでも、動画配信を通じて相手国のドラマや音楽が日常的に消費されている状況 各国に置かれた語学・文化センターをめぐり、受け入れ国側で運営の透明性が議論になった例 店頭で外国人客に母語で対応したことで、相手の日本に対する印象が変わった経験 考えてみたい設問 文化交流は国家間の対立を緩和しうるか。あなたの考えを述べなさい。 政府が自国文化の海外発信に予算を投じることの是非について論じなさい。 元データの更新日:2026-09-02
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国際
言葉の壁をどう越えるか ― 多言語対応と「やさしい日本語」 在留外国人や訪日客が増え、行政窓口・店頭・災害時の情報伝達で言葉の壁が問題になっている。多言語に翻訳して届けるか、日本語そのものを易しくするか。どちらを社会の基盤に置くかで、かかる費用も、相手に求める負担も変わる。
背景 日本の在留外国人は増加を続け、出身国も多様化している。行政・医療・災害の情報を数十の言語に翻訳するのは費用と速度の面で限界があり、機械翻訳も専門用語や緊急時の正確さでは万全ではない。そこで、語彙と文の構造を絞って伝える「やさしい日本語」の取り組みが、自治体・消防・病院で広がってきた。もともとは1995年の阪神・淡路大震災で外国人被災者に情報が届かなかった経験を契機に研究が始まったとされる。一方、当事者からは「なぜ自分たちが日本語に合わせなければならないのか」という声もある。
考えたい問い 言葉の壁の解消は、社会の側が多言語で歩み寄るべきか、共通言語としての日本語を易しくして共有すべきか。
見方を広げる 翻訳できる言語数には限りがあるが、やさしい日本語なら一つの発信で多くの人に届き、災害時のように速度が命を分ける場面で強い。日本語を少しずつ伸ばせる人にとっては、地域社会に参加する足がかりにもなる。話し手の側も「相手に伝わる話し方」を身につけられる。 命や権利に関わる情報(医療の同意、在留資格、契約)は、母語で正確に理解できなければ意味がない。やさしい日本語は「日本語に合わせられる人」を前提としており、来日直後の人や高齢の人を置き去りにする。翻訳の負担を当事者に転嫁している面もある。 具体例 家電量販店で外国人客に免税手続きを説明する際、母語に切り替えると理解が早いが、対応できる従業員がいる時間帯に限られる状況 自治体のごみ分別案内を、翻訳版に加えてイラストと短い日本語文で作り直した例 災害時に「高台に避難してください」を「たかいところへ にげてください」と言い換えて伝えた例 病院で機械翻訳を使った説明が、症状や副作用の微妙な表現で行き違いを生んだ例 考えてみたい設問 日本で暮らす外国人が増えるなかで、情報をどう届けるべきか。あなたの考えを述べなさい。 あなたの周りに見られる多民族化の状況を挙げ、そこで生じる課題と対応を論じなさい。 元データの更新日:2026-09-02
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国際
海外で事業を営む企業は、現地文化にどこまで合わせるべきか グローバル企業は、世界共通の基準で効率を取るか、進出先の慣習に合わせて信頼を得るか、つねに選択を迫られる。商品も、働き方も、意思決定の仕方も同じ問題を抱える。経営・国際ビジネス系志望が最初に押さえたい論点。
背景 企業の海外展開では、本国の方式をそのまま持ち込む「標準化」と、現地の嗜好や商慣習に合わせる「適応」の使い分けが古くからの課題とされてきた。食品や小売では味付け・品揃え・店舗形態を現地化する例が多い一方、品質管理や安全基準、会計やコンプライアンスは世界共通で運用される。人事面でも、職務と評価を明確に定める国と、長期雇用と関係性を重んじる国とでは前提が異なる。経営学では、国ごとの価値観の違いを比較する研究(ホフステードの文化次元など)が蓄積されてきた。近年は人権や環境の基準を取引先まで含めて求める動きが強まり、「現地の慣習だから」で済ませられない領域が広がっている。
考えたい問い 海外事業では、現地の文化・慣習に合わせることを優先すべきか、本国および国際基準の一貫性を優先すべきか。
見方を広げる 買うのも働くのも現地の人であり、嗜好や生活リズム、意思決定の作法を無視した商品や制度は定着しない。現地の人材を要職に登用して判断を任せるほうが、変化に速く対応できる。文化を軽んじる企業は、短期的に売れても信頼を失う。 安全・品質・会計・人権の基準を国ごとに緩めれば、どこかで事故や不正が起き、企業全体の信用が一度に失われる。「現地の慣習」を理由にした例外は、不当な労働条件や不透明な取引を温存しかねない。一貫した基準こそがブランドであり、消費者が国境を越えてその企業を選ぶ理由になる。 具体例 外食チェーンが宗教上の理由で食べられない食材を外したメニューを開発し、現地で受け入れられた例 現地の商慣習に合わせた結果、支払いや契約の不透明さを見過ごし、後に問題化した例 日本の小売業が海外出店で、接客の丁寧さは持ち込み、営業時間と品揃えは現地に合わせた例 訪日客向けの店頭で母語対応と免税手続きを整えたことで、リピーターが増えた例 考えてみたい設問 企業が海外に進出する際、現地の文化にどこまで配慮すべきか。あなたの考えを述べなさい。 グローバル企業の「世界共通の基準」と「現地への適応」について、具体例を挙げて論じなさい。 元データの更新日:2026-09-02
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国際
消えていく言語と文化を、誰が引き受けるのか 世界の言語の多くが、数世代のうちに話し手を失うとされる。少数民族の言語・儀礼・生業をどう継承するかは、当事者の暮らしと、外部の支援・研究・観光のあり方が絡み合う問題。「守れ」と言う側は誰なのかを問い直す論点。
背景 ユネスコは世界の言語のうち相当数が消滅の危機にあるとしており、日本国内でもアイヌ語、八丈語、奄美・沖縄の諸言語などが危機言語として挙げられている。言語が失われる背景には、学校教育・就職・メディアが多数派言語で行われ、話者が生活のために切り替えざるを得ない構造がある。台湾では原住民族の言語を教育や公共放送で扱う制度が整えられてきた。他方、継承の担い手は高齢化し、若い世代は進学や就職で都市へ出るため、記録は残っても日常語としては続かないという難しさがある。研究者や観光が関わることで資金と関心は集まるが、当事者にとっては「見られる文化」になる負荷も生じる。
考えたい問い 少数言語・少数民族文化の継承は、社会が制度で支えるべきか、当事者の選択に委ねるべきか。
見方を広げる 言語は個人の努力だけで維持できるものではない。教育・放送・雇用という社会の仕組みが多数派言語に傾いている以上、放置は事実上、消滅を選ぶことになる。言語にはその土地の自然や生業についての知識が埋め込まれており、失えば知識ごと失われる。公教育や公共放送での使用は、話者に「使ってよい」という正当性を与える。 外部が「守るべきだ」と決めることは、少数派の人々に伝統の担い手という役割を割り当てることでもある。進学や就職で多数派言語を選ぶのはその人の生き方の選択であり、それを後退と呼ぶ資格は外部にはない。制度化は文化を教材や観光資源の形に整え、生きた実践から切り離す危険もある。 具体例 台湾原住民の集落で、祭礼や家屋の建て方を知る高齢者が限られ、若い世代は都市で働いている状況 学校で母語の授業が設けられたが、進学に直結しないため生徒の学習意欲が続かなかった例 研究者や旅行者が集落を訪れ、記録と収入は増えたが、生活の場が「見られる場」に変わっていった例 公共放送が少数言語の番組を持つことで、若い世代が母語を恥ずかしくないものと受け止め直した例 考えてみたい設問 消滅の危機にある言語を保護すべきか。あなたの考えを述べなさい。 少数民族の文化継承において、外部の関わり方はどうあるべきか論じなさい。 元データの更新日:2026-09-02
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「文化だから」はどこまで通用するか ― 文化の尊重と普遍的人権 他文化の慣習を尊重する態度と、人権という普遍的な基準は、ときに正面から衝突する。「文化だから口を出さない」と「人権だから介入する」の線をどこに引くかが問われる。
背景 文化相対主義は、それぞれの文化はその内部の基準で理解すべきで、外部の物差しで優劣をつけられないという考え方である。20世紀の文化人類学が、植民地支配への反省のなかで育ててきた。一方で1948年の世界人権宣言以降、拷問の禁止や教育を受ける権利など、文化を超えて守るべき基準も国際的に共有されてきた。この二つは普段は両立するが、共同体の慣習が個人の身体や進路を制約する場面で衝突する。日本国内でも、外国にルーツを持つ家庭の子どもの就学、宗教上の服装や食事の扱いなどをめぐって、どこまでを文化の尊重として認め、どこからを共通のルールとするかが実際の課題になっている。
考えたい問い 他文化の慣習が個人の権利を損なうとき、その文化を尊重すべきか、普遍的人権を優先して介入すべきか。
見方を広げる 文化は人間がつくったものであり、変えられないものではない。「文化だから」と言って個人の苦痛を放置すれば、その共同体で最も立場の弱い人が守られない。しかもその慣習を文化と呼んでいるのは多くの場合、共同体の中で力を持つ側であって、当事者本人の同意ではない。人権は文化への攻撃ではなく、どの文化に属する人にも認められる最低限の保障である。 普遍的人権と呼ばれてきたものの多くは、実際には特定の地域の価値観を基準に組み立てられてきた。外部が「遅れている」と決めつけて介入することは、かつての支配の構図を繰り返す。文化は生活と結びついた総体であり、一部だけを切り取って否定すれば共同体そのものが壊れる。変化が必要なら、外からの断罪ではなく内部からの見直しとして起きるほうが定着する。 具体例 学校給食で宗教上の理由から食べられない食材があるとき、代替食を用意するか本人が残すかで対応が分かれる例 公立学校の校則が、宗教的な理由による頭髪・服装をどこまで例外として認めるかで議論になる例 国際機関が特定の慣習の廃止を求める一方、現地では「外から生活に口を出している」と受け取られる例 家族の方針で進学をあきらめる子どもがいるとき、家庭の判断と本人の学ぶ権利のどちらを重く見るかが問われる例 考えてみたい設問 文化の多様性の尊重と、普遍的な人権の保障は両立するか。あなたの考えを述べなさい。 「それはその国の文化だから」という言い方について、あなたはどう考えるか。具体例を挙げて論じなさい。 異なる文化的背景を持つ人々が同じ社会で暮らすとき、共通のルールはどのように決められるべきか。 元データの更新日:2026-09-05
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国際
他文化を「使う」ことはどこから盗用になるか 他の文化の衣装・音楽・意匠を取り入れる行為は、交流であると同時に搾取にもなりうる。どこまでが敬意ある受容で、どこからが盗用なのかの線引きが問われている。
背景 文化の盗用は、力関係の非対称な状況で、多数派の側が少数派の文化的要素をその背景から切り離して利用することを指す語として、1980年代以降に広まった。ブランドが伝統的な文様を由来の説明なく商品化する、宗教的な意味を持つ装身具が単なる流行として扱われる、といった例が批判の対象になってきた。一方で、文化はもともと混ざり合いながら形を変えてきたもので、線引きを厳しくしすぎれば交流そのものが萎縮するという反論も強い。日本の着物や和柄が海外で流通するとき、また日本の広告が他国の伝統的な要素を使うときにも、同じ論点が現れる。
考えたい問い 他文化の要素を取り入れることを、文化交流として認めるべきか、盗用として制限すべきか。
見方を広げる 文化的な要素には、共同体が長い時間をかけて積み重ねた意味がある。それを切り離して流行や商品として消費すれば、意味は失われ、担い手には利益が戻らない。しかも、元の担い手が同じものを身につけると偏見の対象になるのに、多数派が身につけると称賛されることさえある。この非対称を放置すれば、交流ではなく一方的な収奪になる。 文化は純粋なまま保存されてきたものではなく、他文化との接触によって変化してきた。どれがその文化に固有かを確定することはそもそも難しい。盗用の指摘が厳しくなりすぎると、他文化に触れること自体が怖くなり、関心も学びも止まる。問題は取り入れること自体ではなく無知と敬意の欠如であり、禁止ではなく学びで解くべきである。 具体例 民族衣装の文様を由来の説明なしに商品デザインへ流用し、批判を受けて販売を取りやめた例 宗教的な意味を持つ装飾品が、意味を知られないまま流行のアクセサリーとして扱われる例 海外の飲食店が日本料理を独自にアレンジし、本場かどうかをめぐって評価が割れる例 観光地の伝統衣装の体験サービスを、地域の担い手自身が運営している例 考えてみたい設問 他の文化の要素を取り入れることは、どこまでが交流でどこからが盗用か。あなたの考えを述べなさい。 文化は誰のものか。具体例を挙げて論じなさい。 グローバル化のなかで自国の文化を守るとはどういうことか。 元データの更新日:2026-09-05
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国際
見せるための文化は「本物」でなくなるのか 祭りや伝統芸能が観光資源として整えられると、収入と担い手を得る一方で、暮らしの中で持っていた意味は薄れるとも言われる。文化を「見せる」ことの功罪が問われる。
背景 観光や商品化を通じて、文化が外部の目に合わせて整えられる現象は長く論じられてきた。上演時間の短縮、わかりやすい演出、写真に写ることを意識した装いなど、外から来る人に合わせた変形が起きる。他方で、観光による収入がなければ担い手の生活が成り立たず、後継者も現れないという現実がある。日本でも、過疎化した地域の祭りが観光行事として維持される例や、伝統工芸が海外市場向けの商品開発によって生産を続ける例がある。「本物らしさ」はもともと固定されたものではなく、誰がそれを認定するのかという問題を含んでいる。
考えたい問い 文化を観光・商品として外部に向けて整えることは、その文化を守ることになるのか、損なうことになるのか。
見方を広げる 担い手の生活が成り立たなければ文化は続かない。観光や商品化は収入と外部からの評価をもたらし、若い世代が続ける価値があると思える条件をつくる。外向けに形を整えることは変化であって喪失ではない。文化はそもそも、時代ごとに見せ方を変えながら残ってきた。 外部の期待に合わせて形を整えるうちに、共同体の内側でその行為が持っていた意味は薄れる。祈りが演目になり、生活の節目が集客の日程に置き換わる。しかも本物らしさを判定するのは外から来る客であり、担い手は自分たちの文化を他人の基準で演じる立場に置かれる。収入が入っても決定権が外に移れば、守ったことにはならない。 具体例 過疎化した地域の祭りが、観光客の受け入れによって担い手を確保している例 伝統芸能の上演が、観光客向けに時間を短縮した形で行われる例 伝統工芸が海外向けの新しい用途の商品を開発することで、生産を続けている例 撮影目的の来訪者が増え、地域が立ち入りや撮影のルールを定めた例 考えてみたい設問 文化を観光資源として活用することの利点と問題点について、あなたの考えを述べなさい。 伝統文化を守るとはどういうことか。具体例を挙げて論じなさい。 「本物の文化」とは誰が決めるものか。 元データの更新日:2026-09-05
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国際
人は「◯◯人」を一つだけ持つべきか ― 多重の帰属と国家 国境を越えて人が動く時代に、複数の国・言語・文化に帰属する人が増えている。帰属を一つに定めさせる制度と、複数を認める社会像のどちらを取るかが問われる。
背景 近代の国民国家は、一つの国籍・一つの言語・一つの帰属を前提に制度を組み立ててきた。国籍、義務教育、徴税、選挙権はその単位で設計されている。一方で、国際結婚、移住、留学、海外での就労が一般化し、複数の国にルーツや生活基盤を持つ人が増えた。日本では重国籍が原則として認められておらず、国籍法により一定の期限までにいずれかを選ぶことが求められる。海外にルーツを持つ子どもが、家庭の言語と学校の言語のあいだで、どちらの言語も十分に育ちにくい状況に置かれることもある。帰属を一つに絞る制度と、実際の生活のあり方とのずれが広がっている。
考えたい問い 国家は個人に単一の帰属を求めるべきか、複数の帰属を認めるべきか。
見方を広げる 人の生活はすでに国境をまたいでおり、帰属を一つに絞らせる制度は実態に合っていない。複数の言語や文化を持つ人は、社会をつなぐ役割を果たせる。どちらかを選べと迫ることは、その人の育ちの一部を否定することであり、本人にも社会にも利益がない。 権利と義務は、どの共同体の一員かを確定しなければ運用できない。徴税、社会保障、選挙権は帰属が定まっていることを前提にしている。複数の帰属を広く認めれば、義務を負わずに利益だけを受ける状態や、責任の所在が競合する事態が生じうる。共通の言語と制度を共有する範囲があるからこそ、社会の一体性は保たれる。 具体例 国際結婚の家庭に育った子どもが、家庭の言語と学校の言語のどちらも十分に伸ばしにくい状況に置かれる例 日本では重国籍が原則として認められておらず、一定の期限までに国籍を選ぶことが求められる制度 海外にルーツを持つ生徒への日本語指導の体制が、自治体ごとに差を抱えている例 複数の言語を使える人が、地域の窓口や医療の現場で通訳の役割を担っている例 考えてみたい設問 複数の国や文化に帰属することについて、あなたの考えを述べなさい。 グローバル化が進む社会で、国家という枠組みはどのような意味を持つか。 「日本人らしさ」とは何か。具体例を挙げて論じなさい。 元データの更新日:2026-09-05
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国際
多文化社会をどう設計するか ― 同化・多文化主義・相互文化主義 多文化社会の「共生」を、実際にどんな制度で支えるのか。同化・多文化主義・相互文化主義という3つの設計思想を比べ、是非ではなく「どう作るか」を論じるためのカード。
背景 カナダは1971年に多文化主義を国の政策として掲げ、1988年に多文化主義法を制定した。オーストラリアも同様の路線をとる。一方、2010〜11年にはドイツ・イギリス・フランスの首脳が相次いで「多文化主義は失敗した」と発言し、社会の分断を招いたと批判された。これに先立つ2008年、欧州評議会は「異文化間対話白書」で、集団ごとの権利保障にとどまらず、集団の「あいだ」の交流を制度化する相互文化主義を打ち出していた。日本では2006年に総務省が「地域における多文化共生推進プラン」を策定し(2020年改訂)、2018年には政府が外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策を決定した(その後も毎年改訂)。在留外国人は2025年末に400万人を超え、受け入れの是非より、教育・言語・住まい・地域自治をどう整えるかが実務上の課題になっている。
考えたい問い 多文化社会の統合は、共通の枠組みに合わせてもらう「同化」を軸に設計すべきか、違いを制度として保障する「多文化主義」を軸に設計すべきか。
見方を広げる 母語や宗教的慣行を捨てさせる同化は、当事者に一方的な負担を強い、結果として社会から排除された層を生む。母語教育や信仰の場を制度で保障したほうが、子どもの学力も定着し、長期的な社会参加につながる。多様性そのものが社会の創造性や経済的な強みにもなる。 集団ごとの権利を制度化すると、集団の内部で完結したコミュニティが並存し、共通の言語や公共のルールを共有する場が失われる。欧州で「分断を招いた」と批判されたのはこの点である。まず共通の言語と法の枠組みを全員が共有し、そのうえで文化的な差異は私的な領域で尊重すべきだという立場もある。 具体例 カナダの多文化主義政策(1971年に国策化、1988年に多文化主義法) 2010〜11年の欧州各国首脳による「多文化主義は失敗した」発言 欧州評議会の異文化間対話白書(2008年)が示した相互文化主義 総務省「地域における多文化共生推進プラン」(2006年策定) 外国人児童生徒への日本語指導が必要な子どもの増加と、自治体ごとの支援体制の差 考えてみたい設問 多文化共生社会を実現するために、国や自治体はどのような制度を整えるべきか、あなたの考えを述べなさい。 「多文化主義は失敗した」という批判をどう評価するか。 グローバル社会を前提としたとき、各国家と社会をどのように構築すべきか。具体例を挙げて論じなさい。 元データの更新日:2026-09-05
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国際
文化のちがいは対立の原因なのか ― 文明の衝突論と、その批判 冷戦後の対立を「文明の断層線」で説明する見方と、それに対する批判を整理するカード。文化的多様性を論じる課題文の多くは、この論争を前提にしている。
背景 1993年、サミュエル・ハンチントンは論文「文明の衝突?」で、冷戦後の国際紛争の主軸はイデオロギーや経済ではなく文明の違いに移ると論じ、1996年に同名の著書にまとめた。この見方は影響力を持つ一方、強い批判も受けた。アマルティア・センは『アイデンティティと暴力』(2006年)で、人は宗教・職業・言語・趣味など複数の帰属を同時に持つのに、それを一つの文明に還元することこそが対立を煽ると論じている。国連は2001年を「文明間の対話年」とし、2005年には「文明の同盟」が発足した。文化の多様性を擁護する議論は、この「違いは対立の原因なのか」という問いへの応答として書かれていることが多い。
考えたい問い 国際的な対立の主な原因は、文化や宗教といった文明の違いにあるのか、それとも政治・経済的な利害や、違いを煽る言説の側にあるのか。
見方を広げる 価値観や規範の体系が異なれば、何を正しいとするかの土台が共有できず、交渉が成立しにくい。宗教や歴史認識をめぐる紛争は経済的利害だけでは説明しきれず、実際に文明の境界と重なる紛争は少なくない。 同じ文明の内部でも戦争は繰り返されてきたし、異なる文明の間で長く共存してきた地域も多い。人は複数の帰属を同時に持つのに、それを大きな文明の単位に切り分けて語ること自体が、対立をあらかじめ前提にしてしまう。原因は違いそのものではなく、違いを動員する政治の側にある。 具体例 ハンチントンの論文「文明の衝突?」(1993年)と同名の著書(1996年) アマルティア・センが『アイデンティティと暴力』で示した、単一帰属への還元への批判 国連の「文明間の対話年」(2001年)と「文明の同盟」の発足(2005年) 同じ文化圏の内部で起きた紛争(対立が文明の境界とは一致しない例) 移民排斥の言説が、経済状況の悪化した時期に強まる傾向 考えてみたい設問 文化の違いは対立の原因になると考えるか。あなたの意見を述べなさい。 筆者は文化の多様性の擁護を説いている。これについてあなたの考えを600字で述べなさい。 異なる文化を持つ人々が共存するために必要なことは何か。 元データの更新日:2026-09-05
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国際
店頭の多言語化 ― 買う人・働く人・地域から見た多民族化 多民族化はニュースの中ではなく、コンビニやドラッグストアの店頭で先に起きている。接客の現場を題材に、「身の回りの多文化社会」を具体例として書けるようにするカード。
背景 訪日外国人旅行者の回復と在留外国人の増加により、小売・飲食・宿泊の現場では多言語対応が日常業務になっている。免税手続きの窓口、多言語の値札やメニュー、翻訳アプリの併用、指差しシートなどがその例である。同時に、店頭で働く側にも留学生をはじめとする外国籍の従業員が増え、「客も従業員も多国籍」という状態が生まれている。行政の分野では、多言語翻訳と並んで「やさしい日本語」——文を短くし、敬語や漢語を減らす日本語——が普及してきた。翻訳の対象言語を増やし続けるより現実的だという判断がある。接客の現場でも同じ選択が問われている。
考えたい問い 多言語化の負担は、受け入れる側が翻訳や多言語人材で引き受けるべきか、共通語をやさしくして双方が歩み寄る形に設計すべきか。
見方を広げる 相手の母語で情報を届けることは、単なる利便性ではなく安全と権利に関わる。アレルギー表示、支払い条件、返品規定などは誤解が実害につながる。多言語化のコストは、トラブルの回避と売上の拡大で回収できる。 対応言語を増やし続けることは中小の店舗には難しく、結果として対応できる店とできない店の差が広がる。日本で暮らす外国人の多くはある程度の日本語を使えるため、語彙と文の構造を易しくするほうが、費用も小さく届く範囲も広い。 具体例 家電量販店やドラッグストアの免税カウンターでの多言語対応 コンビニ・飲食店の多言語メニューや券売機、翻訳アプリの併用 留学生など外国籍の従業員が接客の担い手になっている現場 自治体が広報や災害情報で採用している「やさしい日本語」 母語で書かれた表示があっても、細かい条件は伝わりにくいという実務上の限界 考えてみたい設問 あなたの身の回りで、多民族化が進んでいると感じる場面を挙げ、そこで生じている課題を論じなさい。 多言語対応と「やさしい日本語」のどちらを社会の基盤に据えるべきか。 外国人が暮らしやすい地域をつくるために、企業や店舗には何ができるか。 元データの更新日:2026-09-05
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教育
子どもの生成AI・スマホ利用は大人が制限すべきか ― 規制と主体性のあいだ 生成AIやスマホで学力が伸びる子もいれば、勉強時間を失う子もいる。大人がルールで使う量を絞るべきか、子どもが自分で使い方を決められるように育てるべきかを考えるカード。
背景 2025年のPISAで、日本の読解力の平均点は2012年の538点から503点に下がった。OECD平均も同じ時期に496点から461点に下がっている。日本は数学・科学も含めて上位を保ったが、3分野すべてで低得点層の割合が前回より増えた。一方で、学校の勉強でAIチャットボットを毎日かほぼ毎日使う生徒は、日本が7.0%で、OECD平均の19.1%を大きく下回る。さらに、文章を読まずにAIに要約させるような使い方が多い生徒ほど、成績が低い傾向も出た。先進国の学力低下は2010年代前半から始まり、スマホが広まった時期と重なるという指摘もあるが、因果関係については見方が分かれている。生成AIは登場して間もないため、主な原因とまでは言えないという。こうした中で、使う量をルールで絞る動きが出ている。フランスは2018年に小中学校で生徒が携帯電話を使うことを禁じ、オーストラリアは16歳未満のSNS利用を法律で禁じた。日本でも愛知県豊明市が2025年、スマホの使用を1日2時間以内とする目安を条例で定めた(罰則はない)。
考えたい問い 子どもの生成AI・スマホ利用は、大人がルールで制限すべきか、それとも子ども自身が使い方を管理できるよう育てるべきか。
見方を広げる スマホやSNSは、使う人の時間と注意を引きつけるように作られている。判断力が育ちきっていない子どもに「自分で管理しなさい」と言うのは、大人でも難しいことを求めることになる。実際に高校生自身が「スマホを触る手を止められず勉強できなかった」「課題をAIにまとめさせた」と書いている。読解力の土台が育つ時期に、読む・考える時間が削られる害は大きい。家庭の努力だけに任せると、見守れる家庭とそうでない家庭の差がそのまま学力の差になる。社会としてルールを決めるほうが公平だ。 AIは使い方次第で学びを助ける。わからない問題を放置せずAIに質問し、成績を伸ばした高校生もいる。問題は使う量ではなく「質問に使うか、丸投げに使うか」という使い方にある。禁止すれば、良い使い方を覚える機会まで奪う。卒業すれば制限はなくなり、そのとき自分で使い方を決められなければ同じ問題が起きる。家庭の外で使えば守られないルールも多い。上から規制するより、使い方と自分の使う時間を振り返る力を学校で教えるほうが長く効く。 具体例 PISA2025で、日本の読解力の平均点は538点(2012年)から503点(2025年)に下がり、3分野すべてで低得点層が増えた 学校の勉強でAIを毎日使う生徒は日本7.0%・OECD平均19.1%。文章を読まずに要約させる使い方が多い生徒ほど成績が低い フランスは2018年に小中学校で生徒の携帯電話の使用を禁止した オーストラリアは16歳未満のSNS利用を法律で禁じた 愛知県豊明市は2025年、スマホの使用を1日2時間以内とする目安を条例にした(罰則なし) 新聞の投書欄で、同じ世代の高校生2人の意見が「AIに質問して成績が伸びた」と「AIに課題を任せて勉強しなくなった」に分かれた 考えてみたい設問 中高生のスマートフォンや生成AIの利用を、学校や家庭はどこまで制限すべきか。あなたの考えを述べなさい。 生成AIの普及は子どもの学力を高めるか、低下させるか。具体例を挙げて論じなさい。 自治体がスマートフォンの使用時間に目安を設けることの是非について、あなたの意見を述べなさい。 「主体的に学ぶ力」を育てるために、デジタル機器とどう付き合うべきか。 (図表型)読解力の平均点の推移のグラフから読み取れることと、その原因について考えを述べなさい。 元データの更新日:2026-10-25
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教育
AIが問題を解く時代に、数学を学ぶ意味はあるか ―「解く力」と「問う力」 AIが数学の難問を解き始めた時代に、人間が数学を学ぶ意味を問うテーマ。「答えを出す力」と「問いを立て、確かめる力」を分けて考えるのが鍵。
背景 米テック大手が数学の未解決問題に挑んでいる。20世紀の数学者エルデシュが残した「エルデシュ問題」は約1200問あり、約半数が解決済みで、AIによる解決も含まれる。1946年にエルデシュが立てた「単位距離問題」の予想については、2026年にAIが「正しくない」ことを示したと報じられた。2025年にはAIが国際数学オリンピックで金メダル級の成績を出した。一方で数学者からは、「問題の解決そのものより、新しいアイデアや理論をつくる過程が重要だ」という声がある。
考えたい問い AIが数学の問題を解ける時代に、人間が自分の手で数学の問題を解く練習を続ける意味はあるか。
見方を広げる 数学は答えを出すだけでなく、筋道を立てて考え、正しさを確かめる訓練になる。AIが出した答えや証明が正しいかを確かめるにも、数学の理解が要る。新しい問いを立てること、分野どうしをつなぐことは、今も人が担っている。 計算や決まった解き方の習得はAIに任せられる部分が増える。限られた授業時間は、問題を設定したり、AIの答えを読み解いたりすることに回すべきだ。電卓が広まって筆算の比重が下がったのと同じで、学ぶ中身は変えるべきだ。 具体例 1946年に立てられた単位距離問題の予想を、80年後にAIが否定したと報じられた 単位距離問題は「点3個なら線3本、4個なら5本」と中学生でも手で試せるのに、一般の答えは長く出なかった エルデシュ問題約1200問の約半数が解決済み(AIによる解決も含む) 電卓が普及したあとも、算数ではまず筆算を学ぶ 考えてみたい設問 AIが数学の問題を解けるようになった社会で、人間が数学を学ぶ意味は何か。あなたの考えを述べなさい。 「答えを出す力」と「問いを立てる力」のどちらが今後重要になるか。具体例を挙げて論じなさい。 学校で学ぶ内容は、AIの発達に合わせてどう変わるべきか。 元データの更新日:2026-10-18
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AI
AIに任せてよい判断はどこまでか ― 「進める判断」と「止める判断」 「AIは便利か危険か」の二択で終わらせず、判断の種類ごとに線を引く練習ができるカード。進路・医療・採用など身近な場面に落とし込める。
背景 生成AIの普及で、情報収集・分析・資料作成といった作業は急速にAIへ移りつつある。2026年8月、国内のコンサルティング大手のトップは「調査や資料作成はAIで変わるが、複雑な利害関係の調整や人を動かす判断は人間が担う」という趣旨の見方を示した。企業ではNECのように、AIエージェントだけで構成された部署を組織図に置く例も現れている。一方で、AIに判断を委ねたときの偏りも報告されている。冷戦型の核危機を模擬した実験ではAIモデルが21回中20回で核使用に至り、AIが「進める判断」に傾きやすいことが示された。米国では採用AIが差別をしたと訴える集団訴訟(Mobley v. Workday)の審理が進むなど、AIの判断に説明責任を求める動きも強まっている。
考えたい問い 人が最終的に握るべき判断と、AIに委ねてよい判断の境界はどこにあるか。
見方を広げる 人間の判断は経験や感情、その日の体調に左右され、一貫しない。AIは同じ基準を大量に、疲れずに適用できる。医療の画像診断のようにAIの精度が人を上回る領域も現れている。人が判断を抱え込むほど処理は遅れ、機会を逃す。委ねられる部分を委ねてこそ、人は人でなければできない仕事に時間を使える。 判断には結果に対する責任がついてくるが、AIは責任を負えない。とくに「不合格にする」「治療をやめる」「撤退する」といった止める判断は、当事者の人生を左右し、後から説明を求められる。AIは学習データにある傾向をなぞるため、過去の差別をそのまま再生産することがある。さらにAIは問われれば答えを返す性質上、立ち止まる方向の答えを出しにくい。 具体例 国内コンサル大手のトップが2026年に「調査・資料作成はAIで変わるが、利害調整や人を動かす判断は人間が担う」と述べた AIモデルに冷戦型の核危機を模擬させた実験では、21回中20回が核兵器の使用に至った 米国では採用AIの判断が差別にあたるとする訴訟が起き、審理が進んでいる(Mobley v. Workday) 医療では画像診断をAIが支援しても、患者への説明と最終判断は医師が担う 進路選択でAIに志望校を尋ねると多くの選択肢が返ってくるが、「今年は受けない」という判断は本人にしかできない 米国の個人ローン会社が、融資判断の91%をAIで完全自動化していると報じられた(2026年) 銀行で、審査の書類づくりはAIに任せ、最後の判断は企業から話を聞いた担当者が担う 考えてみたい設問 AIに任せてよい仕事と、人間が担うべき仕事の違いについて、あなたの考えを述べなさい。 「AIは人間の判断を代替できる」という意見に対し、賛否を明らかにして論じなさい。 AIを活用する社会で、人間に求められる力は何か。具体例を挙げて600字以内で述べなさい。 あなたが志望する分野において、AIに委ねられない判断とは何か。理由とともに述べなさい。 元データの更新日:2026-10-18
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教育
基礎はAIを使わずに学ぶべきか ― 学ぶ順番を考える AIに任せれば答えは出る。それでも基礎を自分の手で学ぶ意味はあるのか。「使うか使わないか」ではなく「どの順番で使うか」から考えるテーマ。
背景 MITメディアラボの研究(2025年・査読前)は、AIに文章を書かせた群と自分で書いた群などを比べた。自分で書いたあとにAIで手直しした群は、記憶と脳の活動が高かったと報告している(役割を入れ替えた回の参加者は18人と少ない)。社会人向けのAI講座の中にも、前半はあえてAIを使わずに基礎を学ばせ、後半からAIを使わせる設計のものがある。AIで「書けてしまう」ことと、何が起きているかを「理解している」ことは別だ、という考え方が背景にある。
考えたい問い AIが使える時代でも、基礎はまずAIを使わずに学ぶべきか、それとも最初からAIを使って学ぶべきか。
見方を広げる 基礎が無いと、AIの出力の誤りに気づけない。自分で考えてからAIを使うほうが記憶に残るという研究もある。仕組みを理解していれば、AIへの指示や結果の確かめ方も上達する。 電卓や検索と同じように、道具が変われば学ぶ順番も変わる。AIを使えば一人ひとりに合った説明が得られ、つまずきを早く解消できる。時間の限られた人に遠回りをさせると、学ぶ意欲そのものを失わせかねない。 具体例 自分で書いたあとにAIで手直しした群のほうが、記憶と脳の活動が高かったという研究(査読前・小規模) 前半はAIを使わせずに基礎を学ばせ、後半からAIを使わせる社会人向けの講座 電卓の導入後も、筆算を先に学ぶ算数の授業 考えてみたい設問 AIが普及した社会で、基礎的な知識や技能を学ぶ意味は何か。あなたの考えを述べなさい。 学校の学習でAIをどのように使うべきか、具体的に論じなさい。 便利な道具が人間の能力に与える影響について論じなさい。 元データの更新日:2026-10-11
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AI
AIで仕事は「なくなる」のか「変わる」のか ― 数字の読み方から考える 「AIで仕事の8割がなくなる」といった言葉が広まっている。同じ数字でも「何の割合か」で意味が変わる。仕事の消滅と仕事の中身の変化を区別して考えるテーマ。
背景 2023年、OpenAIと米ペンシルベニア大の研究者は論文で、米国の労働者の約80%が「業務の少なくとも10%」に大規模言語モデルの影響を受けうると推定し、約19%は業務の半分以上が影響を受けうるとした。この研究が測ったのは「影響を受けうる度合い」であり、職がなくなる数や時期は予測していない。一方で、AIを現場に導入する新しい職種も生まれている。米国では、顧客の現場に入ってAI導入を支える「FDE(フォワード・デプロイド・エンジニア)」の求人が、2026年に入って前年の数倍に急増した。
考えたい問い AIの普及は、人間の仕事そのものを奪うと考えるべきか、それとも仕事の中身を組み替えると考えるべきか。
見方を広げる AIは文章作成・要約・集計など、ホワイトカラーの作業の多くをこなせる。分業していた仕事を1人とAIで担えるなら、必要な人数そのものが減る。技術の変化は速く、働く人の学び直しが追いつかないおそれがある。 研究が示すのは「業務の一部が影響を受ける人が多い」ということで、職の消滅とは別の話である。過去の技術革新でも、消えた作業の一方で新しい仕事が生まれてきた。AIを導入する職種の求人が急増しているように、変化は「仕事の組み替え」として現れている。 具体例 「米国の労働者の約8割が業務の1割以上に影響を受けうる」という研究と、「仕事の8割がなくなる」という言い方の違い 顧客の現場でAI導入を支えるFDEの求人急増(米国、2026年に前年の数倍) 経理の照合や書類の確認をAIが担い、人は最終的な判断と承認に集中する業務の組み替え 考えてみたい設問 AIの発達によって人間の仕事はどう変わるか。あなたの考えを述べなさい。 「AIが仕事を奪う」という意見について、賛否を明らかにして論じなさい。 技術の進歩で失われる仕事と生まれる仕事について、具体例を挙げて論じなさい。 元データの更新日:2026-10-11
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AI
AIが人間を超えたら、人間らしさはどこに残るか ― 個の能力から関係性へ あらゆる知的作業をこなすAI(AGI)が現れたとき、人間の価値はどこにあるのか。「個人の能力」で比べるのをやめ、「人と人、人とAIの関係」に価値を見る考え方を検討するカード。
背景 特定の作業に限らず、あらゆる知的作業を人間並み以上にこなす人工知能を汎用人工知能(AGI)と呼ぶ。生成AIの急速な進歩によって、その実現が現実の議論になってきた。AGIが実現すれば人間はそれを制御できず、従属的な立場に置かれるという悲観論がある。一方、髙橋恒一『AGI』(講談社選書メチエ)は、人間らしさの源泉は個人の能力ではなく関係性の中に現れるものだとし、一つの超越的なAIより、多様な環境で育った複数のAIが協調する仕組みのほうが強く望ましいと論じている。ケアの倫理やベーシックインカムも、AGI時代の処方箋として議論されている。
考えたい問い AIが多くの知的作業で人間を上回る時代に、人間の価値を「個人の能力」に求め続けるべきか、それとも人と人・人とAIの関係性の中に見いだすべきか。
見方を広げる 能力の高さで比べる限り、人間はAIに勝ち続けられない。能力を基準にすれば、AIに劣る人の価値が下がるという考え方にもつながる。人が誰かと関わり支え合う中で生まれる信頼や意味は、一人ひとりの能力の合計には還元できない。「むだ」や「あそび」のように効率では測れないものも、関係の中でこそ価値を持つ。AIについても、一つの万能なAIに任せるより、性質の異なるAIと人間が協調する仕組みのほうが変化に強い。 関係性に価値があるというだけでは、AIに仕事を奪われた人の生活は守れない。社会は現実に能力や成果で報酬を配分しており、個人が能力を磨く努力の意味を軽く見るべきではない。また、AIが会話や見守りまで担うようになれば、関係性そのものもAIで代替できるかもしれない。「関係性」は聞こえはよいが、何をどう守るのかがあいまいで、具体的な制度に落とし込まなければ議論が空回りする。 具体例 将棋・囲碁でAIが人間を上回った後も、人間同士の対局が観戦され続けていること 介護・看護の現場で、見守りや記録はAI・機器が担い、人は声かけや寄り添いに時間を使う取り組み 対話AIやコンパニオンロボットは人間関係の代わりになるかという議論 複数の人のAIが好みを突き合わせて飲食店の候補を出し、最後は人が投票で決めるアプリの登場 ベーシックインカムやケアの倫理をめぐる議論 考えてみたい設問 AIが人間の能力を超えたとき、人間にしかできないことは何か。あなたの考えを述べなさい。 「人間らしさ」とは何か。AIとの比較を通して論じなさい。 AIと人間が共に生きる社会に必要なものは何か。具体例を挙げて述べなさい。 対話AIは人間関係の代わりになりうるか。 元データの更新日:2026-10-11
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教育
大学入試は「知識の量」を問うべきか ― AI時代に測るべき力 AIが知識をすぐ引き出せる時代に、大学入試は何を測るべきか。知識の量を問う筆記試験と、問いを立てて考える力を見る面接・総合型のどちらを重視するかを考えるカード。
背景 大学入試ではこれまで、決められた範囲の知識をどれだけ正確に身につけたかを筆記試験で測る方式が中心だった。2021年に大学入試センター試験が大学入学共通テストに替わり、思考力・判断力・表現力を問う出題が重視されるようになった。総合型選抜・学校推薦型選抜で入学する学生の割合も高まっている。学校教育法も、学力を「知識・技能」だけでなく「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」を含めて捉えている。生成AIで知識を引き出す手間が小さくなったことで、「AIに的確に質問し、返ってきた答えを吟味する力」を入試で問うべきだという主張が出ている。一方で、基礎知識がなければAIの答えの誤りに気づけないという指摘もある。
考えたい問い AI時代の大学入試は、知識の量を問う筆記試験を減らし、問いを立てて考える力を見る選抜(面接・総合型など)へ重心を移すべきか。
見方を広げる AIで知識を引き出せる時代に、暗記した量そのものの価値は下がっている。社会で求められるのは、課題を見つけて問いを立て、AIや資料の答えを疑い、自分の判断を言葉にする力だ。入試が知識量に偏れば高校の学びも詰め込みに寄り、こうした力を育てる時間が奪われる。大学は入学後に切磋琢磨できる学生を選ぶ場であり、面接や小論文、活動の記録で考える力を見るほうが目的に合う。 AIの答えを吟味するには、正しいかどうかを判断できるだけの知識が要る。基礎知識の確認を減らせば、考える力の土台そのものが弱くなる。また面接や活動実績による評価は採点基準が見えにくく、家庭の経済力や体験の機会の差が結果に出やすい。同じ問題・同じ基準で測る筆記試験は、出身や環境に左右されにくい公平な仕組みでもある。 具体例 大学入試センター試験から大学入学共通テストへの移行(2021年)と、資料読解・思考力を重視する出題 総合型選抜・学校推薦型選抜で入学する学生の割合の高まり 検索や生成AIで調べられる用語を暗記する意味をめぐる議論 面接・小論文の評価基準の透明性をめぐる議論 将棋・囲碁でAIが人間を上回った後も、棋士がAIを研究に使いこなして実力を伸ばしている例 考えてみたい設問 AIが普及した社会で、大学入試は何を評価すべきか。あなたの考えを述べなさい。 知識を問う試験と、思考力を問う試験のどちらを重視すべきか論じなさい。 「AIに質問する力」は教育で育てられるか。具体例を挙げて述べなさい。 総合型選抜の拡大は、公平な選抜につながるか。 元データの更新日:2026-10-11
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AI
AIに自分の情報をどこまで渡すか ― 便利さとプライバシーの境界 メールや予定表を読ませるほど、AIは「先回りして助けてくれる秘書」になる。その代わり、何を渡したかを後から確かめたり取り消したりしにくい。便利さとプライバシーの線をどこに引くかを考えるカード。
背景 AIは「聞かれたら答える道具」から、利用者のメール・予定表・ファイルにつながって、頼まれる前に動く仕組みへ変わりつつある。例として、OpenAIが2026年9月に発表した常時稼働型のAI「dots」がある。dotsは、つないだアプリの情報を、質問されていなくても自分で読んで記憶を作る。さらに公式の説明では、アプリとのつながりを切っても、それまでに得た情報は消えない。消すにはAIそのものを削除するしかない。日付の書き間違いや締切の見落としに気づいてくれる便利さは、情報を深く渡すことと引き換えに成り立っている。
考えたい問い 便利さを得るために、自分の情報をAIにどこまで渡すべきか。
見方を広げる 情報を多く渡すほど、AIは本人が気づけないミスや抜け漏れを先回りして防げる。たとえば、日付の誤りや期限の見落としの指摘だ。その結果、人は雑務から解放され、判断や創造的な仕事に時間を使える。何を許すかは利用者が設定でき、確認を挟む仕組みもある。だから、使い方を理解したうえで渡すなら、利益のほうが大きい。 いったん渡した情報は、つながりを切っても残ることがある。AIが何を覚えたかを、利用者が一覧で確かめる手段も十分とは言えない。また、何を知らせて何を知らせないかをAIが選ぶようになると、人は見えていない情報の存在に気づけない。便利さに慣れるほど、自分で確かめて判断する力も育ちにくくなる。だから、渡す範囲は必要最小限にとどめるべきだ。 具体例 常時稼働型のAI(OpenAIのdots)は、つないだアプリの情報を頼まれなくても読み、記憶を作る 同じAIは、アプリとのつながりを切っても得た情報が残り、消すにはAIごと削除する必要がある 個人用と仕事用のメールアカウントを1つのAIにまとめてつなげられるようになり、便利さと同時に、AIが読む範囲も広がった スマホアプリの位置情報や連絡先へのアクセスを「とりあえず許可」してしまう習慣も、同じ構図の身近な例 考えてみたい設問 便利なサービスと引き換えに個人情報を提供することについて、あなたの考えを述べなさい。 AIが人間の代わりに情報を管理する社会の利点と課題を論じなさい。 プライバシーを守ることと技術の発展は両立できるか。具体例を挙げて論じなさい。 情報を「渡した後」に利用者が持つべき権利について、あなたの考えを述べなさい。 元データの更新日:2026-10-07
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AI
自律型兵器と人間の統制 ― AIに「引き金」を渡してよいか AI兵器の是非を通して「機械に生死の判断を委ねてよいか」を考える。技術の効率と人間の責任のどちらを優先するかを問う頻出テーマ。
背景 2022年以降のウクライナでの戦争で、偵察・情報分析・目標選定・攻撃という一連の過程にAIが組み込まれ、探知から攻撃までが約20分から数分に縮まったと報じられている。戦場では多くの攻撃ドローンがAIで自律飛行する段階に入っている。自律型兵器の規制は国連などで議論されているが、技術の進歩が外交交渉の速度を上回り、国際ルールは追いついていない。2026年5月にはローマ教皇レオ14世が回勅で、致死的な力を使う判断は人間の実効的な統制の下に置かれるべきだと訴え、発表の場では自律型兵器が人間の手で統治しきれなくなりつつあると警告した。研究面でも、AIモデルに冷戦型の核危機シミュレーションをさせた実験で、21回のうち20回が核使用に至ったという報告がある(キングス・カレッジ・ロンドン、2026年2月)。
考えたい問い 人の生死に関わる攻撃の最終判断を、人間を介さずAIに委ねてよいか。
見方を広げる 判断速度が勝敗と被害規模を左右する現代戦では、人間の反応速度がボトルネックになる。ドローンの群れによる攻撃に人間の逐次指揮は物理的に追いつかない。AIは恐怖・疲労・報復感情に左右されず、誤射や過剰な攻撃をむしろ減らしうる。自国だけが自律化を止めれば抑止力が崩れ、かえって攻撃を招く。兵員が不足する国にとって省力化の意味も大きい。 生死の判断には「誰が責任を負うか」が伴う。AIが誤って民間人を攻撃したとき、開発者・指揮官・国家の誰が責任を取るのかが定まらない(責任の空白)。AIは学習データの外の状況で予測できない振る舞いをする。核危機シミュレーションで21回中20回が核使用に至った例は、AIが「進める判断」に偏り「止める判断」を苦手とすることを示す。さらにAI兵器は核兵器と違い特殊な施設や核物質を必要とせず、高性能半導体とオンライン環境があれば作れるため、非国家主体にも拡散する。 具体例 ウクライナでの戦争で、AIを使って自律飛行する攻撃ドローンが大量に使われた キングス・カレッジ・ロンドンの研究で、AIモデルに冷戦型の核危機を模擬させると21回中20回が核使用に至った ローマ教皇レオ14世が2026年5月の回勅で、致死的な力を使う判断を人間の統制下に置くよう求めた 自動運転車の事故で「運転者・メーカー・システムの誰が責任を負うか」が争われる構図は、AI兵器の責任の空白と同じ形をしている 医療では、AIが診断を支援しても最終的な判断と説明は医師が行うという「人間の最終確認」の原則が置かれている 考えてみたい設問 AIによる自律型兵器の使用について、あなたの考えを600字以内で述べなさい。 「人の生死に関わる判断は人間が行うべきである」という意見について、賛否を明らかにして論じなさい。 技術の進歩に国際的なルールづくりが追いつかない状況で、私たちは何を優先すべきか。あなたの考えを述べなさい。 課題文(AIと安全保障に関する論説)を読み、筆者の主張を200字で要約したうえで、あなたの意見を400字で述べなさい。 元データの更新日:2026-10-07
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法律
忘れられる権利と個人情報保護 ― 検索結果は消せるか 過去の情報を検索結果から消す請求を、プライバシーと「知る権利」の衝突として考えるカード。EUと日本の枠組みの違いも押さえられる。
背景 EUでは2014年の司法裁判所判決を受け、GDPR17条に「消去権」が明文化された。日本では最高裁が2017年に、検索結果の削除は、公表されない法的利益が情報を提供する理由に優越することが明らかな場合に認められるとする判断枠組みを示している。日本の判断は「忘れられる権利」という新たな権利を認めたものではなく、プライバシーと表現の自由の比較衡量として構成されている点が特徴である。個人情報保護法も改正を重ね、2022年施行の改正で漏えい時の報告が義務化され、2026年7月には子どもの個人情報の扱いや課徴金などを盛り込んだ改正法が成立した。
考えたい問い 過去の情報を検索結果から消す請求は、どこまで認められるべきか。
見方を広げる デジタル空間では情報が半永久的に残り、更生した人や無関係になった人が過去に縛られ続ける。名前を検索すれば古い記録が最上位に出る状態は、実質的に終わらない制裁である。忘れられることは、やり直しを認める社会の前提である。 削除は過去の事実を社会から見えなくする行為であり、公人の経歴や事件の記録が検証できなくなる。何を残すかを私企業の判断や個別の裁判で決めれば、力のある者ほど不都合な情報を消せる。記録の保存は将来の検証と報道の基盤である。 具体例 EUではGDPR17条に消去権が明文で定められている 日本の最高裁は、削除が認められるのは公表されない利益が優越することが明らかな場合とした 検索結果の削除は元の記事自体を消すものではなく、到達しにくくする措置である 考えてみたい設問 「忘れられる権利」を認めるべきか、あなたの考えを述べなさい。 プライバシーと知る権利が衝突する場面での判断基準について論じなさい。 デジタル社会において記録が残り続けることの功罪を論じなさい。 元データの更新日:2026-09-05
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法律
SNS誹謗中傷への刑事罰強化は妥当か SNS上の誹謗中傷に対し、刑事罰の強化や発信者特定の簡易化という手段が妥当かを、被害救済と表現の萎縮の両面から考えるカード。
背景 SNS上の誹謗中傷が深刻な被害を生んだ事例を受け、2022年に侮辱罪の法定刑が引き上げられ、公訴時効も延長された。また改正プロバイダ責任制限法により、発信者情報開示を求める新たな裁判手続が設けられ、被害者の負担が軽減された。さらに、削除申出への対応迅速化や判断基準の公表を事業者に求める法改正も行われている。一方で、刑事罰の強化は政治家や企業への正当な批判まで萎縮させるおそれがあると、法改正の段階から指摘されてきた。
考えたい問い SNS上の誹謗中傷への対処として、刑事罰の強化は適切な手段か。
見方を広げる 匿名の集団による攻撃は被害が甚大で、民事の損害賠償だけでは抑止にならない。加害者は特定されないと考えるからこそ書き込む。刑事罰という明確な線引きは、書き込む前に手を止めさせる効果を持つ。被害者に立証と費用の負担を負わせ続ける現状こそ不公平である。 侮辱罪は事実の摘示を要さないため成立範囲が広く、権力者への批判が捜査対象になりうる。萎縮するのは加害者だけではない。また刑事罰は書き込みの背景にある構造を変えず、対症療法にとどまる。プラットフォームの設計改善や削除対応の迅速化のほうが実効的である。 具体例 2022年に侮辱罪の法定刑が引き上げられ、公訴時効も延長された 発信者情報開示について、被害者の負担を軽くする新たな裁判手続が設けられた 削除申出への対応迅速化と判断基準の公表を事業者に求める法改正が行われた 考えてみたい設問 SNS上の誹謗中傷への刑事罰強化について、賛否を明らかにして論じなさい。 匿名での発信は制限されるべきか、あなたの考えを述べなさい。 表現の自由を守りながら被害者を救済する方法について論じなさい。 元データの更新日:2026-09-05
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法律
一票の格差と司法の役割 選挙区ごとの一票の価値の差をめぐり、裁判所が「違憲状態」と述べながら選挙を無効としない構造を、司法権の限界という視点から考えるカード。
背景 人口の都市集中により、選挙区によって議員1人あたりの有権者数に差が生じている。最高裁は衆議院・参議院の定数配分について繰り返し判断を示し、格差が著しい場合に「違憲状態」と述べてきたが、選挙自体を無効とする判決は出していない。「違憲状態」の場合は、是正のための合理的な期間を過ぎていないとして選挙は有効とされてきた。違憲と判断した場合でも、選挙を無効にすれば当選者の資格や成立した法律に混乱が及ぶため、違法を宣言するにとどめて無効とはしない。これは「事情判決の法理」と呼ばれる考え方に基づく。衆議院では格差是正のため、人口比をより反映するアダムズ方式が導入された。一方で、人口の少ない地域の代表が減ることへの懸念も根強い。
考えたい問い 一票の価値の平等は、地域代表の確保より優先されるべきか。
見方を広げる 投票価値の平等は代表民主制の根幹であり、住む場所によって一票の重みが変わることは法の下の平等に反する。格差を放置すれば、少数の有権者に支えられた議員が過大な影響力を持つ。裁判所が違憲状態と述べながら是正を促すだけでは、国会の腰は上がらない。 人口比のみで配分すれば、人口の少ない地域の声が国政に届かなくなる。過疎地の課題は都市部の論理では代弁できず、面積や自治体単位といった要素も代表性の一部である。また選挙無効という劇的手段は統治を混乱させ、司法が政治過程に踏み込みすぎる危険がある。 具体例 最高裁は「違憲状態」と判断しても、選挙自体は無効としてこなかった 衆議院では人口比をより反映するアダムズ方式が定数配分に導入された 参議院では複数県を1つの選挙区とする合区が導入され、対象県から反発が出た 考えてみたい設問 一票の格差はどこまで許容されるべきか、あなたの考えを述べなさい。 裁判所が「違憲状態」としながら選挙を無効としないことの是非を論じなさい。 人口の少ない地域の意見を国政に反映させる方法について論じなさい。 元データの更新日:2026-09-05
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法律
表現の自由はどこまで制約できるか — 規制の線引き ヘイトスピーチ・偽情報・わいせつ表現など「有害な表現」をどこまで法で規制できるか。憲法21条の保障と「公共の福祉」による制約の線引きを、原理から考えるカード。
背景 日本国憲法21条は表現の自由を保障し、検閲を禁じている。一方で名誉毀損罪・わいせつ物頒布罪など、表現を処罰する規定は現行法にも存在する。判例は「公共の福祉」による制約を認めつつ、表現の自由は民主主義の前提をなす優越的な権利として、制約には厳格な審査を求めてきた。2016年にはヘイトスピーチ解消法が施行されたが、罰則を伴わない理念法にとどまる。近年は偽情報やプラットフォーム上の有害投稿への対応が新たな争点になっている。
考えたい問い 表現の自由は、有害性を理由にどこまで法的に制約してよいか。
見方を広げる 表現は現実に人を傷つけ、差別を扇動し、社会の分断を加速させる。被害者にとって「言論には言論で対抗せよ」は成立しない。標的にされた側は反論の場すら奪われる。差別や偽情報を放置することは、結果的に少数者の表現の自由を奪う。 何が「有害」かを決めるのは権力であり、規制の枠は容易に拡大する。批判・風刺・少数意見が「有害」の名で封じられた例は歴史上多い。萎縮効果は法の文言以上に広く及び、規制が緩んでも表現は戻らない。誤りを含む言論も、公開の議論で訂正されるべきである。 具体例 ヘイトスピーチ解消法(2016年施行)は理念法で罰則を持たない 名誉毀損罪は公共性・公益目的・真実性が認められれば処罰されない(刑法230条の2) SNS運営企業による投稿削除は企業の判断で行われるが、大規模事業者には削除の手続や基準の公表が法律で義務づけられた(2025年〜) 考えてみたい設問 表現の自由の制約が許される条件について、あなたの考えを述べなさい。 ヘイトスピーチに罰則を設けるべきか、賛否いずれかの立場で論じなさい。 「言論には言論で対抗すべき」という主張の妥当性を検討しなさい。 元データの更新日:2026-09-05
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法律
同性婚・選択的夫婦別姓と憲法24条 婚姻制度をめぐる2つの争点を、憲法24条(婚姻は両性の合意のみに基づく)と14条(法の下の平等)の解釈から考えるカード。司法と立法の役割分担も論点になる。
背景 同性婚をめぐっては全国5地裁で訴訟が提起され、高裁では5件が違憲、1件が合憲と判断が分かれ、2026年3月に最高裁の大法廷で審理されることになった。争点は憲法24条1項の「両性」が同性婚を禁じる趣旨なのか、それとも当時想定されていなかっただけなのかという解釈にある。選択的夫婦別姓については、最高裁が2015年と2021年に民法750条(夫婦同氏)を合憲と判断する一方、いずれも制度のあり方は国会で論じられるべきだとした。法制審議会は1996年に選択的別姓を含む改正案を答申したが、法改正には至っていない。
考えたい問い 婚姻制度の変更は、司法が違憲判断で促すべきか、立法府の判断に委ねるべきか。
見方を広げる 婚姻に伴う相続・税・医療同意などの法的効果を、同性カップルや別姓を望む夫婦が受けられないのは、個人の尊厳と法の下の平等に反する。憲法24条は個人の尊厳と両性の本質的平等を要請する条文であり、婚姻を制限する根拠として読むのは本来の趣旨と逆である。改姓による不利益は事実上一方の性に偏っている。 婚姻制度は家族のあり方に関わる社会の基本設計であり、選挙で選ばれた国会が決めるべき事柄である。裁判所が違憲判断で制度変更を迫るのは、民主的正統性を欠く。また戸籍・親子関係など制度全体との整合を取る作業は、判決ではなく立法でしか設計できない。 具体例 自治体のパートナーシップ制度は法律上の婚姻とは効果が異なり、相続権を生じさせない 最高裁は夫婦同氏を合憲としつつ、制度のあり方は国会の議論に委ねるとした 経団連は2024年に選択的夫婦別姓の導入を求める提言を公表した 考えてみたい設問 同性婚を法制化すべきか、憲法上の根拠を示して論じなさい。 選択的夫婦別姓の導入について、賛否を明らかにして述べなさい。 社会制度の変更において、司法と立法はそれぞれどのような役割を果たすべきか。 元データの更新日:2026-09-05
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法律
AIが起こした損害の責任は誰が負うか AIの判断や生成物が損害を生んだとき、開発者・提供者・利用者の誰が責任を負うかを、既存の法制度の限界から考えるカード。
背景 現行の民事責任は、故意・過失のある者に責任を負わせることを基本とする。しかし機械学習モデルは判断過程が説明しにくく、誰の過失かを特定することが難しい。製造物責任法は対象を「製造物=動産」としており、ソフトウェア単体をどう扱うかは論点として残る。EUでは2024年にAI法が成立し、リスクに応じた規制の枠組みが定められた。日本では2024年にAI事業者ガイドラインが示され、2025年にはAIの研究開発と活用の推進を定める法律が成立したが、こちらは基本理念や体制整備が中心で、事業者への強い義務づけは含んでいない。
考えたい問い AIによる損害の責任を、誰にどのような基準で負わせるべきか。
見方を広げる 利益を得る者がリスクも負うのが公平である。利用者はモデルの中身を検証できず、被害者に過失の立証を求めるのは実質的に救済の否定に等しい。責任を重くすれば、開発段階での安全対策に投資する動機が生まれる。 AIは道具であり、どう使うかを決めるのは利用者である。用途を限定して提供したものが目的外に使われた場合まで開発者に負わせれば、開発は萎縮し、安全性の高いAIの普及自体が遅れる。過度な事前規制はリスクの低い用途まで一律に縛る。 具体例 製造物責任法は対象を動産としており、ソフトウェア単体の扱いは論点として残る EUのAI法はリスクの高さに応じて規制の強さを変える枠組みを採用している 日本のAI事業者ガイドラインは法的拘束力を持たず、事業者の自主的取組を促すものである 考えてみたい設問 AIが損害を生じさせた場合の責任の所在について、あなたの考えを述べなさい。 AIの利用に事前規制を課すべきか、賛否を明らかにして論じなさい。 技術の発展と安全確保を両立させる制度設計について論じなさい。 元データの更新日:2026-09-05
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親子のことばノートを見る